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天才の脳科学―創造性はいかに創られるか

価格: ¥2,310
カテゴリ: 単行本
ブランド: 青土社
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著者の教養の深さが光る ★★★★☆
天才とはどういうことなのかということについての微細な考察。
天才についての定義を過去になされた有名な研究を引き合いに、また、天才と呼ばれた有名人の人生を引き出して洞察する。

IQが高いことと創造性は必ずしも一致しない、科学方面での創造性に富んだ人は統合失調症にまた、文学方面の創造性に恵まれた人は気分障害に
陥りやすいなど興味深い話が多い。
ただ、この本は結構硬い印象の専門的な雰囲気をまとっているので、一般向けとは言えないかもしれない。出版社はそもそも医学向けのところ?
天才の脳とは ★★★★☆
本書はそのタイトル通り、創造性に富む天才の脳とはどうなっているのか、遺伝のせいか環境のせいか、
といったトピックについて扱ったものである。著者はシェイクスピアでも医学でも博士号を取得した、
領域横断的なディシプリンを持つ脳科学者で、自身、天才少女といわれて保守的な親の反対をよそに学問の道を志した。
そんな著者は「創造性の高い人々は何が違うのか」という疑問を胸に解説と議論を展開してゆく。
自身の専門を生かし、自らの研究だけでなく文学作品や美術までも引用しながら、創造のプロセスを科学と伝記的エピソードの両面からひもとく。
また、「天才と狂気は紙一重」なのか?という疑問にも紙数を割き、特に創造的な人々にある種の傾向はみられるらしいことを例証している。
「氏か育ちか」という問題にも触れ、遺伝的要因と環境的要因の区別の難しさも示していく。
巻末には脳が成人後も柔軟に適応し、鍛えられること、また幼少期の脳へのTV、ネットの影響まで述べ、脳と心のトレーニング方法まで解説されている。
脳トレが流行したが、それとはまたひと味違った、学問的なトレーニングである。
本書は、なぜダヴィンチらのような凄い人が出たのかというわかりやすい主題と、氏か育ちか等の身近な疑問から成っている為、
とっつきやすく興味深く読める。著者の幅広い興味関心が反映され、視点も内容も多岐にわたっている。図版も豊富。
ただ脳という未だ未知多き分野を扱うため、どうしても憶測の域を出ない記述も多く、論拠が弱いこともある。
数多くの面白い研究成果や逸話が紹介されるが、更なる問いが山積してもいる。
はっきりと確定した結論があるというよりは、様々な可能性や、ありそうな結論を示唆した本といえる。
天才レオナルド・ダ・ヴィンチに憧れて。 ★★★★☆
天才の誕生は、どのような因子によるものだろうか?遺伝なのか、環境なのか、それぞれに問い掛けながら、現代の最先端科学を盛り込んで研究された、ナンシー・C・アンドリアセンの『天才の脳科学』である。

この本は、最後の「6.よりよい脳を作る」から読まれて、「5.何が創造的な脳を創造するのか」、そして、「1.創造性の本性」と読み進まれた方が、興味深く読めると思います。

中学の頃より、英語、数学、国語の三教科に重点が置かれた教育に、疑問を投げかける一冊のようにも思えます。
創造的な能力に、音楽と絵画が、とても重要であることが、この本から分かるからです。

p52 創造的な性格
 創造的な個人に特徴的な性格としては、経験に対して開放的、大胆さ、反抗的、個人主義的、敏感さ、茶目っ気、忍耐強さ、好奇心の強さ、単純さが挙げられる。

p224 複数の研究では、音楽演奏家で小脳が大きくなっていることがわかった。(中略)こうしたたくさんの研究から言えることは、音楽を学んだり演奏したりすることが脳によいということだ。

読むのに、少し忍耐力がいるかも知れないけど、「天才の創造力とは何か?」を分析され、解き明かそうとしている1冊である。
「天才=ずば抜けた知能指数」という誤解を解く ★★★★☆
創造的科学研究が産み出される地域が特定地域に偏っているのは何故かといういわゆる「学問中心地問題」に関心を持って目下研究を進めている自分にとって、問題そのものが事実とすれば直ちに明らかだったことは「天才科学者=飛びぬけた知能指数の持ち主」ではありえないということでした。高知能の人間が特定地域にだけ集中して生まれたりはしないでしょ?本書は天才の心理学的研究の歴史をたどることで創造的天才が特に抜きん出た知能指数を持っていたわけではなかった事実を教えてくれます。

しかし問題はまさしくここからなわけで、アインシュタインはじめとする偉大な創造的天才を作り上げた諸条件はいったい何だったのかということになるわけです。芸術にも通ずる自由な想像力? 英文学の研究者でもある高名な脳科学者の著者アンドリアセンは、その経歴にふさわしく、多様な分野の天才の本質を偉大な芸術家の持つ資質の中に集約しようとしている、そんな印象を本書から感じました。そして実に説得力があります。

しかし、芸術的創造性と科学的創造性を現段階で同一のメカニズムで説明しようとするのは勇み足ではないかという懸念も感じます。アンドリアセン自身述べているように、天才科学者の場合の調査はほとんど手付かずの状態なのです。科学は芸術と通ずるものはあるけれどやはり芸術ではないし、芸術的創造性を範例としてしまうと、天才科学者や天才発明家以外にも「天才政治家」とか「天才企業家」といった存在がありうるのではないかということを無視してしまうことになりはしないか。結局、アンドリアセンは脳科学者として興味深いと思える事例だけに基づいて創造性を論じてしまっているのではないか。そんな疑念がぬぐえませんでした。
非常に興味深く勉強になりました ★★★★★
オリジナルな発想、創造性。
そういうものが、どうしてある人に生まれ、またほとんどの人には生まれないのか。
これをセレンデュピティと言う言葉で表わす事があります。
どう表わそうと、とにかく後に「天才」と呼ばれるようになった人には、まるで神の言葉のように
して、ある発想、創作が生まれる。
それは単なる努力で語れるものではない。また、遺伝だけで片づけられるものでもない。

こあたりのところを、著者の専門である脳神経病理学の知見はもとより、哲学、生理学、心理学等、
様々な学問分野から作曲、文学等芸術的な分野にまで論証を拡げ、天才と呼ばれる人達の、その創
作のメカニズムに迫ろうとしている。非常に意欲的でぐいぐい引き込まれる。
著者自身が、幼少時代高い高いIQの天才少女であったのが、著者の言葉をかりれば「決して天才に
はなれず、普通に成長してしまったこと」の意味を探ろうとしている事が、そもそもこの書物の出
発源となっている。

記述は興味深い例に富み、また、しっかりとした学術文献、科学的研究成果に裏打ちされている。
このため、全ての創造性や発想、のメカニズムに興味を持つ学究者の期待にこたえる事ができると
思われる。しかも、あまりに専門に偏らず、大変読みやすく書かれており、一般の方々にも特に問
題なく読み進む事ができるでしょう。

私自身の研究のテーマとして、創造性のメカニズムがある。
http://web.mac.com/aquatio1/Linkability/image.html
このため、この本から受けた刺激は大変大きなものでした。

久々、勉強って楽しいなぁ、と思える、つい誰かに薦めたくなる、優れた書物であると思います。