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分裂病の少女の手記 改訂版―心理療法による分裂病の回復過程

価格: ¥2,100
カテゴリ: 単行本
ブランド: みすず書房
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デボラとの併読が有効 ★★★★☆
 精神分裂病患者が、治療者の献身的な精神療法により完治したというストーリーは、疾病が不治であるという当時の常識からすると、驚くべきものであったので、同じような手記が出版されることになったという時代状況が分かる書物である。「デボラの世界」と比較すると、一見、ルネという少女はデボラよりも描写力が幼いようだが、「デボラの世界」の内容がドラマチックで、特にキリスト教徒好みの光景が意識的にか無意識的にか多く出現し魅了されるところがあるが、しかしよく考えると本書のほうに、精神分裂病の基本的な症状が全面に出ており、その意味では、ルネは脚色をしなかったとも言えるのではないかとも思える。自閉症にしても精神分裂病にしてもサバイバー(自閉症の場合、この言葉が適当なのかは疑問であるが)による内面の表出がないと、障害の全体的把握が難しいというのが、精神科学を困難にしている原因と言えよう。
心から理解するために ★★★★★
統合失調症(かつて精神分裂病と言われていた)だった少女がセラピストであるセシュエー夫人の治療を受けて寛解した後に自己の体験を振り返って書かれた本。
心理学的にはこうした症状の体験者がどういった知覚をするのか、どう体験が獲得されるのかといった点に目がいきます。
統合失調症の方の精神内界も、我々いわゆる健康な人間の精神内界と全く断絶したものではない、ということを読んでいて痛感させられました。
手記のあとは、セシュエー夫人による解釈つき。
分裂病の少女の手記 ★★★★★
この本は、必ずしも学術的知識を有することを前提としなくても、十分に読みこなせます。皆さんの中には、かつて分裂病と言われていた病について、あまりはっきりとした概念をお持ちでない方も多くいることと思います。そういう人にこそ是非、手にとって戴きたい。私自身、分裂病について調べていく過程でこの本と出会ったのではありません。ごらんの通り本書は、病者の手記と分析者の解釈の二部から成っています。彼女の手記を読むことによって、彼女自身の最後のことばが本当はとても印象的ですが、人間に生まれたことの儚さのうちに喜びと大いなる救いを見るのは、決して特別な人ではないでしょう。