インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

クライマーズ・ハイ (文春文庫)

価格: ¥700
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
Amazon.co.jpで確認
   硬派の警察小説や社会派ミステリーの分野で当代一の横山秀夫が、上毛新聞記者時代に遭遇した御巣鷹山日航機墜落事故取材の体験を、本格長編小説にまとめ上げた。常に新しい手法を模索し手抜きを知らない著者の、会心の力作だ。

   組織と個人の軋轢、追う者と追われる者の駆け引きなどを緻密な筆でつづり、水際立った展開で読み手を引きこむのが横山の持ち味である。しかし本作では、あえてその筆の巧みさに自ら縛りをかけ、実体験をベースに抑制の効いた渋い群像小説となった。トリッキーな仕掛けや、えっ、と声が出そうなスリリングな結末、といったものはない。練りに練ってこれ以上は足し引き不可能な研ぎ澄まされた文章で、未曾有(みぞう)の大事故に決然と立ち向かい、あるいは奔流を前に立ちすくむ人間を描いている。

   地方新聞の一筋縄ではゆかない、面妖と言っても過言でない人間関係、ひりひりした緊張感。おそらく横山自身が体験したのであろう新聞社の内幕はリアルで、読み止めを許さない。過去に部下の新人がなかば自殺の事故死を遂げた負い目をもつ主人公は40歳の遊軍記者だ。大惨事の現場にいち早く到着し、人間性のどこかが壊れてしまった26歳の若手記者や、現場雑感の署名記事をつまらぬ社内の覇権争いでつぶされる33歳の中堅記者、「下りるために登るんさ」と謎の言葉を残して植物状態になった登山家の同僚――どの登場人物も、著者の一部であり、また思い通りにゆかない人生を懸命に生きる、すべての人間の一部でもある。

   本作は、普通に捉えれば著者の新境地だろう。しかし、これはむしろ横山が元々、奥深くに抱いていたものではないか。著者は本書を上梓することで、自身も過去に決着をつけようとしている印象を強く受ける。やや明る過ぎて物足りない感のある結末も、聖と俗を併せ持つ人間にもっと光を当てたい、救いたいという願いであり、そしてなにより著者自身が本作を支えに新たな一歩を踏み出すためのものだろう。また、そうであってほしい(坂本成子)

事故から25年、出版から7年 リアリティの中に温かさも ★★★★★
 あの日航機墜落事故から25年。本書の出版当時の2003年、まだ私には読む勇気がなかった。ショッキングな場面を読まされるのではないか。作品として楽しむのは不謹慎ではないのか。そんな思いが邪魔をしていたしかし、読んでみてその心配は消し飛んだ。すべての人に感動をもたらす作品であると思う。
 作者は、事故当時28歳で、上毛新聞社の社員だった。つまり、リアルタイムで当時を経験しているのだ。「いつか書く。」そう思って構想をあたためてきたのだろう。
 だから、本書の北関東新聞社の様子、全権デスクを任された主人公悠木の立場や若手の記者たちの迸る情熱や苦しみなどが、極めてリアルに表現されている。当時の地元新聞社の社員たちのそれぞれの立場での真剣さが伝わってくる。
 また、悠木の記者としての一面だけでなく、家庭人、特に父親としての姿を描けているのも作品全体を人間味のあるものにしている。
 さらに、17年後、悠木が57歳になったときに岩上りに挑戦する場面が、事故当時の様子と交互に挿入され、作品に厚みをもたらしている。
中間管理職の悲哀 ★★★☆☆
左遷人事の数年後、同期から送れてデスクに就任した地方新聞社社員の物語。
しかも、そのデスクというのが、地方紙の地元で起きた世界最大の旅客事故について。

新聞業界に詳しくなかったので、その内情をリアリティをもって表現できている点は
素晴らしかった。部下と先輩とのはざまで、どのような決断を下すべきかの苦悩もよく描かれていた。

ただまぁ新聞社の事情を楽しく勉強できたが、読後感は可もなく不可もなくといったところか。
ページをめくる指が止まらないという感じではありませんでした。
謎解きやどんでん返し、鳥肌が立つような感動というのは期待せずに読む本ですかね。
あんまり心に響かず ★☆☆☆☆
 周囲の評価が高かったので読んでみたのですが、いまいち心に響きませんでした。作者は以前新聞記者であったとのこと。私は報道関係者に対して常に懐疑的な意見の持ち主なのでなおさらそう感じたのかもしれませんが。
 作者の言いたいこと「報道とは何ぞや」ということが、この悲惨な事故を対象にとることで、ひたすら矮小化されている感が否めない。報道を擁護する立場なのだろうに、主人公が一連のストーリーを通じてどんどんあさましく、情けなくなっていくように描くのはどうなのだろう。
壮大なテーマ ★★★★☆
世界最大の飛行機墜落事故「御巣鷹山日航機墜落事故」その当時の現地新聞記者の葛藤と苦悩を描いたものです。「下りるために登る」山にアタックする仲間のこの言葉の意味が日航事故の新聞社内での仕事を通じて徐々に分かり始めます。本書は横山氏の体験記に近い小説のようで、それだけに人々の行動の一つ一つがリアルであり、会話内容にも力強さが感じられ、ものすごい緊張感が伝わってきます。とにかく新聞記者とういう仕事がここまで緊張感があり命をかけると言っても過言でない仕事ぶりに驚愕しました。まさにクライマーズハイ状態で日航事故という大きな事件を追いかけます。それはいつかその仕事や緊張感から下りるためだったのかもしれません。読むだけで勇気付けられる壮大な本でした。
軸がぶれている感じがした ★★☆☆☆
本屋大賞1位ということで、読んでみた。
正直な感想はなぜこれが1位なのか?ということである
飛行機墜落事故の事を軸に仕事や家庭、友人のことを
おじさん視点で描かれているのだが、どうも感情移入も
共感もしにくかった。自分が20代の若輩者だからなのか…
はたまた読解力がなさすぎるからなのか

40超えて妻子ができればまた違った感想を抱けるのかもしれない。