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20世紀SF〈2〉1950年代―初めの終わり (河出文庫)

価格: ¥998
カテゴリ: 文庫
ブランド: 河出書房新社
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良質のアイディアは時代をこえる ★★★★★
国内で編纂された、20世紀SFアンソロジー 第2巻

これは!とうなってしまうような名作ぞろい。良質のアイディアは時代を超えるというSFの奥深さを改めて思い知らされた。特に、面白かったのは、フレデリック・ポール「幻影の街」、ポール・アンダースン「サム・ホール」(リチャード・マシスン「終わりの日」のラストの余韻もよいけれど)。

■幻影の街
ガイ・バークハートは、昨日と同じ6月15日に目覚めたことに気づく。微妙に異なっているが、同じ日を繰り返していることを知るスワンスンと出会い、真相をつきとめようとする。その驚くべき真実とは ・・・

■サム・ホール
反社会的活動を一切禁止した世界。中央情報局 技術部門責任者のソーンバーグは、たわむれに、国民の情報を統制するコンピュータ マチルダへ、存在しない犯罪者サム・ホールをつくりだす。未解決事件をサム・ホールの犯行であるかのごとくデータを改ざんするソーンバーグ。上層部からサム・ホールの調査を命令される ・・・

その他の作家陣は以下のとおり。

レイ・ブラッドベリ/フィリップ・K・ディック/ゼナ・ヘンダースン/クリフォード・D・シマック/C・M・コーンブルース/エリック・フランク・ラッセル/アルフレッド・ベスター/ジェイムズ・ブリッシュ/コードウェイナー・スミス/シオドア・スタージョン

巻末の解説では明言されていなかったが、ロバート・シェイクリー「ひる」は、ウルトラQ「バルンガ」のもとネタなのだそうだ。
傑作ぞろいの一冊 ★★★★★
古典的な「ひる」に「終わりの日」と名作ぞろいだが、個人的なベストはゼナ・ヘンダースンの「なんでも箱」。子供の「ときめき」を描かせたら右にでる者がいない著者の代表作だが、日本ではこの作品を収録した短編集が絶版になり、今ではこのアンソロジーでしか読むことができない。
 他にもこのアンソロジーでしか読めない作品が収録されおり貴重な一冊。
名作のてんこ盛り ★★★★★
 一冊にこれだけ豪華なラインアップは本当にお買い得。
 一押しは,スタージョンの「たとえ世界を失っても」。題材が同性愛ということで当時としての先駆性が話題に上る作品らしいが,そんなことよりも,巧みなストーリー展開と秘められた心の繊細な動きを見事に描き出した傑作である。
 フレデリック・ポールの「幻影の街」もお勧め。読み始めのうすっぺらい広告にまみれた雰囲気が途中から一変する。6月15日が繰り返されるのはなぜかが明らかになったとき,街の安っぽさのわけもわかるシニカルな作品である。
 シニカルといえば,コーンブルースの「真夜中の祭壇」。宇宙飛行により身体中に気味の悪い赤筋の入った若い男とわたしのやるせなさとやりきれなさが重く心に響く。
 「隣人」は,シマックらしいほのぼのとした田園作品。もちろん,マシスンの「終わりの日」も前半とのコントラストゆえに,極めて美しいラストシーンが感動を呼ぶ傑作である。
本書収録の「終わりの日」を強くお勧めしたい ★★★★★
 リチャード・マシスンの「終わりの日」を初めて読んだのは「SFマガジン 64年9月号」掲載の日本語訳でした。物語展開の衝撃とラスト・シーンの息をのむ美しさとを鮮明に憶えています。

 天体異状によって地球最後の日を迎えつつある人類。青年リチャードと仲間たちは「最終日」をセックスとドラッグに溺れながら、絶望に駆られてただひたすらなまでにふしだらに生きようとする。しかし、最後の最後にリチャードが共に時を過ごそうと考えた人物がいた。その人物とは…。

 マシスンが描き続けたテーマは、自分は一体誰なのか、そしてその自分という手応えを確かに感じるには一体どうしたらよいのか、ということです。換言するならばマシスンは、「生きてある」と思っていた自分がひどく脆く不確かなものであるということを知った時の言い知れぬほどの不安と恐怖を、執拗に我々に突きつけてきました。

 「終わりの日」でも、地球の滅亡によって歩んできた人生が無に帰する事態を目前にして、主人公は自暴自棄へと突き進んでしまいます。しかし、自らの人生を否定するのは地球の滅亡ではなくて、投げやりに生きる主人公の決意そのものであることをマシスンは語りかけているのです。ささやかであっても大切に育んできた自らの人生を自らが否定することの醜悪さこそを私たちは一番に恐れるべきなのです。
 
 この作品には、自分が確かに生きていたという実感を与えてくれる「人物」が登場します。同じような人物が読者の隣にもいるかもしれないということ、そしてそのことのありがたさを知らせてくれる物語でもあります。

 主人公に自らの名前を与えたことからも、作者が強い思い入れを持ってこの短編にのぞんだことが読み取れます。

 手元にある旧訳に比べて本書収録の新訳はより洗練された日本語になっています。この作品を本書に収録する決断をした編者、そして新訳に取り組んだ訳者に拍手を送りたいと思います。

終わりの日 ★★★★★
「終わりの日」、これを読むためだけにでもこの本を買っても良いと思います。前半と後半の描写のコントラスト、それがラストシーンの美しさを際だたせています。
また、本書のサブタイトルになっている作品「初めの終わり」は、スペースシャトルの事故の後に読み返してみましたが、最初に読んだときとはまた別の重さを持って迫ってきました。

他の作品も良いです。