SFにとって80年代はサイバーパンクだけじゃない!
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ウィリアム・ギブソンの「冬のマーケット」で幕を開け、続いてブルース・スターリング、ルーディ・ラッカーと、そうそう80年代といったら何でもかんでもサイバーパンクだったなぁと、懐かしき近未来を堪能してしまったが、80年代において優れたSFは、サイバーパンクだけだったわけじゃなかったんだと、改めて思い出させてくれたのが、最後に収録されている、ジェフ・ライマンの「征たれざる国」。これは文句なく名作だ。また「サイバーパンク」をパクったかのように、「リボファンク」なる新しい言葉を生み出し(しかしムーブメントにはならなかったが)、その思想を作品化した文庫初収録(もちろんそれ以外にもあるけれども)ポール・ディ・フィリポの「系統発生」。いずれも新鮮な懐かしさに満ちているといえるだろう。SFファンではなくてもお勧め。