SFの奥深さを感じさせる良質なアンソロジー
★★★★★
国内で編纂された、20世紀SFアンソロジー 第3巻
ニューウェーヴが台頭した60年代の作品集。(ほぼ)著名な作家の作品が掲載されている。第1巻、第2巻に比較すると、底抜けに明るい雰囲気や明快さはないが、かえってSFの奥深さを感じさせる良質なアンソロジーと思う。面白かったのは、ジャック・ヴァンス「月の蛾」、J・G・バラード「砂の檻」(次点は、R・A・ラファティ「町かどの穴」、ケイト・ウィルヘルム「やっぱりきみは最高だ」)
■月の蛾
多数の楽器を奏でてコミニュケーションをとり、素顔を見せることをタブーとする惑星シレーヌ。中央星域から派遣された新任領事代理シッセルは、凶悪犯ハゾー・アングマークの逮捕を指令を受ける。仮面の異星人たちとの中で、追跡がままならぬうち、とり逃がしてしまうのだった ・・・
設定の面白さもさることながら、おちが効いており、読み応えあり
■砂の檻
砂の海に囲まれウィルスに侵された大西洋沿岸地域。ブリッジマンは、トラヴィス、ルィーズ・ウッドワードともに見捨てられたホテル郡に暮らしていた。砂上にあらわれた監視隊が彼らを捕獲すべく探索の手をのばしていく ・・・
荘厳ささえ感じてしまう記念碑的な傑作
その他の作家陣は以下のとおり。
ロジャー・ゼラズニイ/ハーラン・エリスン/サミュエル・R・ディレイニー/アーサー・C・クラーク/トーマス・M・ディッシュ/ゴードン・R・ディクスン/ラリイ・ニーヴン/ロバート・シルヴァーグ/ダニー・プラクタ/ブライアン・W・オールディズ
「20世紀SF」シリーズのベスト
★★★★☆
「20世紀SF」シリーズの中では一番面白かった。
面白かったのは、以下の6編。
・「月の蛾」
・「銀河の<核>へ」
・「イルカの流儀」
・「メイルシュトレームⅡ」
・「太陽踊り」
・「コロナ」
シリーズ中最高の1冊
★★★★★
SFがパルプ雑誌向けの娯楽文学から現代文学へと飛躍的進化を遂げた60年代の作品集なので、収録作品の幅が広く多種多様でレベルが高く、シリーズ6冊の中でも最高の出来。クラークの次にバラード、ディッシュの次がディクスンとニーヴンでその次がシルヴァーバーグともう最高。「リスの檻」「太陽踊り」などは古本屋漁り以外ないと諦めていただけに素直に嬉しい。作品選択に疑問の声もあるようだが、この巻の作品選択が1番バランスがとれているのでは。ゼラズニイは確かに「伝道の書…」に入ってる方が世評は高いが、簡単に読めるのを入れても仕方がないし。ディクスンも「レベル的にどうか」という意見があるようだが、私は素朴でいいと思う。こういうのが入っているから、全体が小難しくならず、バランスがよくなっていると思う。