たまにはSFなど
★★★★★
ヴァラエティに富んだ全11編中、本書を購入したきっかけとなったのがダン・シモンズの『ケンタウルスの死』。
予想外の物語に感嘆。なんという「お話」。
ダン・シモンズ、そういう時代に生まれていたら、きっと The Legendary Bard として名を残したことでしょう。
それとも先祖にいるのかな?
『ケンタウルスの死』と双璧の読み応えは、グレッグ・イーガン『しあわせの理由』。
SF要素は欠かせない設定ではあるけれど、それが無くともなんとも辛い物語。なのに、けして暗いだけでも悲惨なだけでもない。
こういう「それでも生きていく人生」の話には、もともと弱いのですが。
cheerful を「しあわせ」とした訳者のセンスも素敵です。
上記2作品だけでも1冊分のモトはとった気分ですが、他に、
異様な未来風景と典型的ロードムービー物語のミスマッチが楽しくて、やがて寂しいテリー・ビッスン『平ら山を越えて』
あまりの滅茶苦茶ぶりに大笑いしたアレン・スティール『マジンラ世紀末最終大決戦』
(しかし、Mudzilla がマジンラってことは、Godzilla はゴジンラ?)
年季の入ったSF読者の方はまた別の感想もあるかもしれませんが、私のようなSF素人にも親切な面白さで★5つ。