孫子と並んでクラウゼヴィッツの戦争論は、政治・軍事の研究にも、趣味的な
読書にも欠かせない。「戦争は政治の延長である」という彼の命題は何度も
引用されながら実は解説者のさじ加減で如何様にも解釈され紹介されてきた。
「戦略」「戦術」というあまりにポピュラーなこれらの用語はクラウゼヴィッ
ツの理解なくしては空虚である。
本書はそのテキストの主要部分を紹介しながら、最近の研究にまで言及してい
る充実したクラウゼヴィッツの紹介書というよりも研究への導入としてレベル
が高い。特に編集者がこのシリーズにクラウゼヴィッツの後継者「モルトケ」
も加えており、その意図自身が評価できるものである。