本書はアルコール依存症の家庭で育った人々を対象としていますが、情緒不安定な親の元で育った多くの人にも当てはまることだと思います。本書では質問とそれに対する回答という形で、不安定で一貫性の無いアルコール依存症の家庭で育った子供が、どのように影響を受け、その結果、大人になった時にどのように振る舞ってしまうのか、そして、これからどうして行けば良いのかを平易に説明しています。語り方は、アルコール依存症の家庭で育った人たちに直接話しかけるようになっており、筆者の思いやりが読者に伝わってきます。もしあなたがアルコール依存症または情緒不安定で気まぐれな両親の元に育っており、All or Nothingの両極端に考える傾向があり、自分に価値がないのではと感じており、楽しむのが苦手で、コントロール出来ない状況に極度の不安を感じているのであれば、本書を読まれると何か参考になるかもしれません。また、あなたの身の回りにそのような人がいるのであれば、本書を薦めてみましょう。本書は実際に問題を抱えている人には結構役立つのではと思います。
ただし、私は本書の記述がすべて正しいとは思いません。神経科学的レベルでの個人差もかなり影響しているのではと思います。臨床心理士やソーシャル・ワーカーなどの専門家の方であれば、是非神経科学的見地からの研究結果にも目を通して欲しいと思います。