内なる子どもとスピリチュアリティ
★★★★★
「内なる子ども(インナーチャイルド)」とは、
誰の中にもある、生き生きして創造的な満たされた部分の
ことです。虐待やアルコール依存、共依存の問題などによって
窒息させられ、過去に置き去りにされ、生きることを許されなくなって
しまっていることがあります。
(「内なる子ども」はその存在を無視されることによって、
影で人生を動かそうとしているようです)
本書には、その「内なる子ども」を見出し、
癒し、育てるための数々の情報が満載です。
「内なる子ども」と言われても最初はピンとこない
かもしれません。こういう表現もあります。
(参考)「もちきれない荷物をかかえたあなたへ」
クラウディア・ブラック
人の心には、「自然な子ども」「傷ついた子ども」
「コントロールする子ども」の三人の「内なる子ども」が住んでいます。
第一の子どもは、純粋無垢で感じやすい子ですが、大人たちによって捨てられてしまったり、牢屋に閉じ込められています。
第二の子どもは、怒りや恐れ、見捨てられ不安に怯えていて、誰かに存在を認められしっかりケアされたがっています。
第三の子は、心が傷つかないよう、感情を遮断して内側をガードしています。
さて、「内なる子ども」への気づきを深めるには、本書にある、
以下の、「内なる子ども」の意識のレベルについての知識が
役立つかもしれません。(188ページ以下)
・ 無条件に愛する子ども
・ 思いやりのある子ども
・ 創造的な子ども
・ 闘い、成長する子ども
・ 考え、分別する子ども
・ 感じる子ども
・ 無力な幼児 (自分自身によって)発見され暖かくケアされる必要がある
また、個人の「権利宣言」がのっています。
・ 私は単なる生き残り以外に、無数の選択の自由を持つ。
・ 私は内なる子どもを発見し、それを知る権利がある。
・ 私は必要ながらも得られなかった、また必要でないのに望まずして
得たものを嘆く権利がある。
・ 私は私自身の価値、基準に従う権利がある。
・ 私は私自身の価値体系を適切と認め、受け入れる権利がある。
以下、37までありますので省略させていただきます。
以下のような、印象的な著者の主張ものっています。
私たちはしばしば、「(ハイヤーパワーに、あるいは、神に)ただ委ねればいいのに」と安易に
口にすることがありますが、そのことについて著者は、
私たちは何を委ねたいのかを知らずして「委ねる」
ことはできないと言います。(以下、本書の言葉を使って要約です)
もっと深く知らなければ、
衝突、感情、欲求不満を体験し始めなければ、委ねることはできない…
理性で体験するのでなく、深く、「こころから、はらわたから」、
私たちの存在の核心、あるいは本質で体験するのです。
安全で支持的な人々に、危険を冒して私たちの物語りを
語ることで(聴いてもらうことで)、体験をさらに促進させることができます。
こうして、数ヶ月、数年後に、はじめて、「委ねる」という
希望(選択)が見えてくるようです。
本書の166ページあたり
最終的には、内なる子どもとスピリチュアリティとの関連まで
考察されています。
自身の「内なる子ども(インナーチャイルド)」をある程度の期間にわかって意識(観察)して来られた方、
12ステップに馴染んでおられる方(ハイヤーパワーなどの表現に
抵抗のない方)、ユング、マスロー、トランスパーソナル心理学などに
興味のあられる方などには特におすすめさせていただきます。
自分を見失わず
★★☆☆☆
この文章は、レビューという形を取りつつも、同時に自分に言い聞かせるための言葉でもあります。
自分を守り、律し、癒すことができるのは自分だけです。
そのことに必要以上に悲観的になることはありません。
私は本書を7割ほど読み、自分のなかに少し偏った感情が芽生え始めたこと、そして純粋に自助グループへの関心からパソコンを開き、アダルトチルドレンの集会(こう言うべきなのかはわからない)及び斎藤学先生について調べてみました。
確かに本は良書です。
でも本は本。
本の文章に自分を寄りかからせるような危険なことを私はするつもりありません。
この本では斎藤学さんの顔は見えません。
どんな本でもそうですが、その世界にのめり込み自分を委ねてしまえば、それは麻薬とか新興宗教に近いものがあるのではないでしょうか?
本の場合、その時だけで済むことは大半だから麻薬とか宗教ほど依存性はないにしても、この本は医療関係書であり、そのさきには「治療」があります。
人は自分の苦しみを救ってくれるものに対し盲目になります。
わたしは踏みとどまれてよかったと思います。
しかし全部読むのはやはり感化されそうで恐ろしかった。
たとえ自助的な集まりや斎藤先生の講演、カウンセリングがすばらしくても。
自分を助けるのは自分です。
自助グループ等を通して回復したい人に最適の本
★★★★★
この本は、ACや共依存症で悩む人が、特に自助グループや治療機関のグループ・カウンセリング等を通じて回復していく方法を、四つのプロセス(87、167頁)に分けて説明します。とりわけ家族で経験した痛みや喪失を、安全な他人(カウンセラーや仲間)に語ることによって、その苦しみを手放し新しい生きかたを見つける点を重視します。
この本の特徴の一つは、自助グループでの回復で陥りやすい問題について、著者なりの建設的な見方を提案していることです。
例えば「自己憐憫はやめよう」、「(手を離してハイヤーパワーに)委ねればいいのに」、「HALT(空腹・怒り・孤独・疲労)を避ける」、「(親など虐待者を)許す」など自助グループでよく耳にする考えが、場合によって「内なる子ども」を癒すためには障害となる点を指摘し、どんな点に注意したらいいかを説きます(142、146、152、166頁)。
また自助グループでの回復方法、12のステップに関わりが深い「霊性」についての解説があります(例えば57頁や185頁以下)。さらにステップの8と9で取り組む罪悪感(良心が痛む)についても、恥辱感(お前なんて価値はない)との違いを踏まえ説明します(65、66頁)。
なお私は、自分の痛みを聞いてもらう、安全で支持的な他人の見分け方(95頁以下や121頁以下)が特に参考になりました。
全体を通じて、「すぐに役立ち、回復する」方法を解説している本ではありませんが、自分のペースで回復したい人にとって、助けになるメッセージが多く詰まった本だと思います。
確かに翻訳はやや読みにくいですが、随所にAC本人の体験談が盛り込まれており、ぐいぐい引き込まれながら読みました。
難しい!!!!
★★☆☆☆
この手の専門書という感じです。
かなりの読解力がないと読みこなせないと感じます。
専門的な用語が多用されているうえに、翻訳本なので、翻訳したときの不自然な日本語になっていて、なにを言わんとしているのかを理解するのが難しい。とくに、文中の「あなた」は誰を指し、「私」は誰を指しているのか重要な部分で混乱します。
専門的知識があるカウンセラーなどの職業で、客観的に理解しようとする向きには、いいかもしれません。
回復のための道しるべ
★★★★★
以前五つ星のレビューを書いていたのですが、何故か文字化けし始めて、気がついたらレビューが消去されていたので驚きました(^-^;
記憶をもとにもう一度書かせていただきます。
2003年に自分がアダルトチルドレン(AC)であることを自覚して、わたしは12ステップを用いた自助グループに参加するようになりました。
そこにはわたしと同じような感覚に苦しんでいる人たちが集まっており、「自分ひとりではないんだ」という安心感を得て、とても楽になることができました。
参加したからと言ってすぐに社会に復帰できるほど簡単なものではなかったのですが、わたしの回復にとってとても大きな一歩になったのは間違いありません。
しかし、何かしら問題を持った人たち(わたし自身も含む)が集まっているのが自助グループです。いつのまにか、わたしは自助グループ内で起こる人間関係でのトラブルで傷ついてしまうようになりました。
わたしにとって自助グループだけが回復のための手段だったので、その頃は本当に苦しみました。
この本はACや共依存の基本的な説明からはじまり、自分の回復がどの段階なのか、今後の課題は何なのかを教えてくれます。
この本を読みつつ自助グループに通えば、上記のような苦しみをかなり減らすことができると思います。
この本は他人やグループとの適切な距離感、そして自分自身の問題に向き合う手助けになるのでとても役に立ちます。
自助グループに通いつつ、その効果に疑問や失望を感じている人にお勧めします。