兄弟ゲンカで悩んでいるご家族へ
★★★★☆
このティラノサウルスシリーズは大好きで、「おまえうまそうだな」が世に出て以来、ずっと宮西達也先生の作品を愛読し続けてきました。
今までのどの作品でも、主人公ティラノサウルスの優しさがにじみ出ていて、素晴らしい作品ばかりです。
ただ、この「いちばんあいされているのはぼく」は、育ての親(ティラノサウルス)の愛情を、「他の兄弟よりも自分が一番強く愛されたい」という独占欲・・・この誰もが自然に心に持っている欲求が顔を出すとき・・・、子供が同じ兄弟に対して犯してしまうささやかないたずらが、兄弟を命の危機に陥れてしまいます。少しダークなお話です。
映画化もされている「おまえうまそうだな」と比べると、同じアンキロサウルスの可愛い赤ちゃんを登場させながら、今回は、子供のダークな部分を描いている怖い作品ですので、シリーズの中では、好き嫌いわかれてしまう作品かもしれませんね。(そういう点で星4つ)
それでも、ラストには、宮西達也先生らしい見事な救い(ティラノサウルスの優しい言葉)と教訓が、ちゃんと残されていますので、後味の悪さは無く、安心して読んでいただけると思います。
本当の兄弟愛、家族愛は、たがいのわだかまりを受け入れ、乗り越えた先に築くものなのかもしれません。