わかっていても泣かされます
★★★★☆
ティラノサウルスシリーズ第7弾。
名著だったシリーズ5巻目と若干内容がダブるように思います。
個人的にこのシリーズの傑作は、3巻と5巻だと思うのですが、近年の作品はこのどちらかのパターンをなぞっているように思えなくもありません。
つまり、真に心を交わしあえた相手が死んでしまうパターンと、真に愛する者を守るために自身が命を落とすパターンの二つです。
「死」というテーマを扱っているので、やはり泣けます。
しかし、先にも述べたようにこのシリーズではもはやパターンと化している内容であるにもかかわらず、そこに「泣かせよう」というヤラセの雰囲気はなく、物語に引き込まれて自然と落涙してしまうのです。
そこがこの作品の凄いところです。
5巻を読んだ時の衝撃は忘れ難く、涙が出たというレベルでなく号泣した絵本は初めてでしたが、本書も味わい深いです。シリーズ初期にはなかったおかしみ、エスプリともいうべき笑いのセンスも加わり、絵本として洗練されてきています。
マンネリを恐れず、まだまだ続けていってほしい名シリーズです。