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テオ・アンゲロプロス全集 DVD-BOX IV (永遠と一日/再現/放送/テオ・オン・テオ)

価格: ¥17,010
カテゴリ: DVD
ブランド: 紀伊國屋書店
Amazon.co.jpで確認
永遠と一日 ★★★★★
前期の集団、政治的映像から、主人公を作る映像に変化を遂げたテオ・アンゲロプロスにとって、「永遠と一日」は両方の集大成だろう。現在と過去を自由に行き交う映像とガンツの思いが、見事な叙事詩となって胸に突き刺さって来る。日本にも溝口健二や小津安二郎 と言った素晴らしい映像作家はいるが、世界にはもっと凄い作家がいる。
アンゲロプロス全作を一望 ★★★★★
全集ではこの第4巻を初めて手にしました。
長編処女作「再現」と近作「永遠と一日」のカップリング、
さらに「再現」以前の短篇「放送」というラインナップがこの第4巻の妙味でしょう。
3枚それぞれに入った解説書には各作品の監督のコメント、資料が満載。
これだけでも溜息が出ます。

「永遠と一日」はDVDでの鑑賞がオススメ。
以前、テレビ放送を録画していたので今回の購入をためらいましたが
テレビ放送とは比較にならないほどシャープ。
また解説書には作品完成時の監督インタビューに加えて
主演のブルーノ・ガンツへのインタビューを収録。
彼自身の人間性や、創作現場での監督像が垣間見られます。
死を見据えながら見終わった後の爽快感が不思議でしたが
インタビューでその謎が少し解けた気がしました。
「テオ・オン・テオ」
全作品に関するインタビュー。各作品からのセリフ選びも監督らしい。
監督自身が語る各作品の成り立ちもファンには溜飲のさがる思い。
亡くなった美術監督ミケス・カラピペリスの各作品美術原画も必見。
この巻の解説書は、映像に映っていない部分を補っており
これも映画祭での上映ではなくこのDVDならでは。
映像とは別に講演を活字で収録しているのも嬉しい。
「放送」「再現」
「再現」では長編第一作にしてすでにアンゲロプロスの美学が見て取れます。
白黒のコントラストに映る石畳、石積みの家並みの美しいこと。
事件に翻弄される人間の強く、美しいこと。
「旅芸人」以降のどの作品でファンになった方にもオススメです。
「放送」は当時のラジオというメディアの創る虚像を暴く作品、
しかし同時に当時のアテネの街頭が活き活きと活写されているのも面白い。
解説書の「再現」完成当時の監督インタビューは必読。

全集に手を出そうか迷っている方は、先ずこの巻を入手されて損はありません。
独特の長回し撮影になったのは必然だったのです。
各作品の謎もこれを見ることで、監督の姿勢を通して深く知ることが出来ます。
しかしこれを手にしてから、どうしても他の巻が気になって仕方がないのですが…。
映像と音楽の稀有の一体化 ★★★★★
フェリーニ=ニーノ・ロータとはずいぶん趣が異なるが、テオ・アンゲロプロスの映画にはエレニ・カラインドルーの音楽が不可欠である。いまやそれは映画の重要な一部になっているといっても過言ではない。

アンゲロプロス映画の音楽をカラインドルーが担当したのは「蜂の旅人」からだと思う。1982年にある映画祭でカラインドルーの音楽に接した監督は、その場に出席していた作曲家に即座に仕事を依頼したという。その後「シテール島の船出」「霧の中の風景」を経て、「こうのとりたちずさんで」「ユリシーズの瞳」と次第に両者のコラボレーションの密度は深まり、「映像と音楽の稀有の一体化」を実現してきた。

そして、その頂点をなすのが、この「永遠と一日」である。映画を見た人なら、音楽がいかに主人公(ブルーノ・ガンツ)の心の微妙な襞々に寄り添っていたかが理解できるだろう。このCDを聴くたびに、私はアルマーニのコートに身をやつした、人生最後の一日を過ごす男の姿がまざまざと浮かんでくる。

その一方で、この音楽の完成度はどうだ。ギリシャの民族音楽の研究家でもあるカラインドルーは、郷愁あふれるローカリティのなかに地域や時代を超えた普遍性を獲得している。現代ギリシャの生んだ優れた現代音楽としても高い評価が可能であろう。実際、これは単なるサントラ盤ではなく(そしてカラインドルーの全作品が)、アルヴォ・ペルトやクルタグなどの作品で知られるECM New Seriesからリリースされている。

アンゲロプロスの最新作「エレニの旅(Weeping Meadow Trilogy Ⅰ)」の音楽も、もちろんカラインドルー。本作以上に、映画における音楽の役割が増大していたのが、とりわけ印象的であった。

監督の頭のよさに感銘 ★★★★★
時間とは誰が考え出した概念かを考えた事がある人は多いはず。ほんの一瞬があなたの中では永遠でありずっとまわり続ける。現実と頭の中の現像と…。時間はたくさんのドットのつながりであり後ろに後ろに飛んでいきまた前に戻る。この映画は類まれな美しい映像と表現方法で言い表せない世界を作り出した、唯一の映画である。DVDになるのをもう十年くらい待っているがならないらしい…。
全集、これにて完結 ★★★★☆
このⅣ集をもって、全集も完結。 しかし、アンゲロプロスはまだ現役の監督であり、これからも作品を発表しつづけてくれることを我々は待ち望んでいる。

Ⅳ集では、「永遠と一日」を収録。 全集発売前には、唯一国内でDVDが入手できる作品だっただけに、ファンは既に入手済みの人も多いことだろう(私もそのひとりではあるのだが)。 それであっても、やはりこのⅣ集は入手してしまうだろう。 全集を全て所有するというコレクター根性もあるにはあるのだが、やはり未見である「放送」「再現」を是非観てみたいと思う。 

また、アンゲロプロスの重層的な表現世界への理解を深めるためにも、監督自身へのインタビュー「Theo on Theo」も興味深い。