歴史、地理、社会、動植物、伝記の5章に分かれ、年表、地図、イラストなども豊富に盛り込まれている。引く事典というより読む事典として、愛好家にとって座右の1冊となるだろう。また、トールキン作品の未読者にとっても、1つの異次元世界の案内書として十分に楽しめる読み物でもある。たとえば「ホビット」の項は、なんと3ページ余にわたり詳細な説明がなされている。
オックスフォード大学で古代中世英語を講じた言語学者トールキンは、彼のつくりあげた世界を神話としてよりも、架空の言語「エルフ語」による資料を集大成した架空の「歴史」としてとらえられることを好んだとされる。構想から執筆は、死の年に至るまでほぼ50年にもわたった。その膨大な時間と労力を費やして練り上げられた神話体系の、細部のひとつひとつを解説し、整理したものが本書だ。世界創生に始まる年代記から数々の名前の命名法に至るまで、一貫性をもたせようと努めた緻密さと、独力で1つの「歴史」を詳細にわたって構築したトールキンの創造力にあらためて驚嘆させられる。(祐 静子)
当時(今も大して変わりませんが)内容を読み解くに足る英語の語彙力が無く、かなり時間をかけてしまいましたが、世界の創造から~~指輪戦争の終結までのあらましを知る事ができました。
主な登場人物、場所についての記述も十分にしてあり、件の映画「The Lord of The Rings」(2001, 2002,~~ 2003)で描かれた指輪を巡る冒険についても十分な知識を得る事が可能です。
さすが百科事典と冠するだけの事はあるなぁ、と唸らせられます。
どうやら、「トールキン指輪物語事典」として日本語化されているようです。
わざわざ英語版を買うにはそれなりの理由が必要でしょう。
日本人としては日本語版「Tolkien: The Illustrated~~ Encyclopaedia」を強く推しますが、原本にも同様の価値が含まれています。~
これを片手に指輪物語を読むのはお勧めしない。よけい混乱するだけである。(というのが私だけだったら御免なさい)なにしろ指輪物語にも出てこない様々なエピソードをここでは解説している事が多いからだ。むしろ指輪物語を読んだあとで、この詳しい歴史を読んだり、映画で描かれる以前の世界である豊富な挿絵を鑑賞するのはとても楽しいものになると思う。
内容は非常に豊富である。「指輪」の「影響」を被り、もはや直る事はない「指輪病」である、と判断されるような人には必帯である。
ただ固有名詞が列挙してあるので、トールキンの作品にまったく触れたことがない人には意味不明かもしれません。とくに「指輪物語」を読破してから読むのがオススメです。
人物や地名は、ジャンルごとに五十音順に並べられているので、「指輪物語」を読みながら、パラパラと見ていくのもいいかもしれません。