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金色夜叉 (新潮文庫)

価格: ¥740
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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お宮って、意外と早い段階で蹴られるのですね ★★★★☆
この本を買ってから読むまでに、4年かかりました。

4年かかった理由としては、やはり難解な文体と字体でした。

でも、辛抱強く読み進めると、意外と文体には慣れるもので、わからない箇所はありつつも、音読したり読み返せばわかる事がほとんどでした。

なので、困難そうだから、という理由で先延ばしにされている方がいるのであれば、まずは読みはじめて欲しいです。




読みたいと思ったきっかけは、有名なシーンでもある、貫一がお宮を蹴るに至る理由をきちんと知りたかったからです。

予想に反して、物語のかなり早い段階で、お宮は蹴られます。

そこからが長い物語になるとは意外でしたが、どんどん引き込まれて、かなり長編であるにもかかわらず、

最後まで一気に読み進めてしまうほど、急進力のある展開でした。

ですので、未完ゆえに、物語が途中で終わってしまう感じがとても残念でなりません。

物語の展開が途中で終わる無念さは残るものの、明治時代当時の世間での考え方や心の機微、風景描写の細やかさ、

そして、明治文学を代表する文体の美しさに触れる事は、非常に意義のある事です。



外国語訳されているかわかりませんが、日本人でなければ感じる事のできない、

美しい日本語で表現された文学に触れる事をお勧めします。
終盤にある芸者の言葉に主人公達の若さを感じた ★★★★★
 有名な熱海海岸のシーンは、その前段の昼間のシーンから緊迫感が続いてスリリングだ。可愛さ余って憎さ百倍と足蹴にするシーンは舞台上の演出ではなく、原作の記述通りであることがわかり驚かせられる。その後の貫一の執拗なこだわりは痛々しいぐらいであるが、お宮も結局孤立してしまい救いようがない。
 当時は新聞小説こそが、最先端のエンターテインメントであったのだろう。いまで言う月9ドラマとでも言おうか、これを読まずして話題についていけようかと言うぐらいだったのではないか。解説によれば死が迫った令嬢が「死後墓前に花や水を供えるより『金色夜叉』掲載の読売を毎朝供えて欲しい」と遺言したそうである。作家冥利に尽きるというか、作品の力を感じるエピソードだ。
 そんな理由でか、蛇足とも思える続編が続いていく構成なのだが、その中で芸者の語る「女の惚れ方の三様」は非常に含蓄のある言葉で、否定的に思えた続編以降の存在が有意義に感じられた。
百年前の金字塔を味わう ★★★★☆
 作り事は嫌いでなるべく小説は読まない主義の私だが、先日熱海の海岸を散歩したのを契機に、恥ずかながら古稀を過ぎて初めて金色夜叉を読む気になった。百年前(1897-1902)の著作だ。考えてみれば、日本の人口は45百万人で、丹那トンネルはまだ出来ていないから東海道は新橋始発で御殿場線経由。貫一お宮の重要な舞台となった熱海は、国府津からの軽便鉄道の終点だった。男尊女卑で既婚女性が単独で男性と会うなどもっての他の時代だ。
 小学校は旧かな遣いで学んだ私はさして苦労なく読んだが、「十九にて恋人を棄てにし宮は、...二十あまり五の春を迎へぬ。(25の春を迎えた)」といった美文調の文語は、若い人には一寸辛いかも知れない。しかし連載で読売新聞の購読数を飛躍的に伸ばした虚構の面白さは現代でも素晴らしい。覚悟を決めて掛かれば、百年前の日本社会を味わいつつ日本文学の金字塔を堪能することができよう。
 菊池寛が大正9年に発表した「真珠夫人」を東海テレビが、時代を終戦後に改めて昼ドラにしたのが大ヒットになり、2002年の流行語になった。同じことをすれば金色夜叉も大ブレーク間違いない。そういう息も継がせぬ面白い展開だ。
明治の男の純愛 ★★★★☆
○読み始めたきっかけ

 ビジネス書ばかりに読書が偏重していたので、ここらで人の気持ちや機微が分かる
恋愛モノを読んでみようと思いました。どうせ読むなら、時代の洗礼を受けてなお残っ
ている古典がいいだろうと手にとって見ました。

○心に残る言葉

 確かに地の文は読みにくいですが、読みやすい会話部分を拾っていくだけでもストー
リーは理解でき、魅力的なセリフが散りばめられています。

p.41 固より世の中というのはそう面白い訳のものじゃないので、又人の身の上ほど
分からないものはない。(中略)儚いのが世の中と覚悟した上で、その儚い、つまら
ない中でせめては楽しみを求めようとして、つまりわれわれが働いているのだ。考え
てふさいだところで、つまらない世の中に儚い人間として生まれてきた以上は、どう
もいまさら仕方がないんじゃないか。

p.237 高利貸しを不正というなら、その不正の高利貸しを作った社会が不正なんじゃ。
必要の上から借りるものがあるで、貸すものがある。なんぼ貸したうても借る者がな
けりゃ、我々の家業は成り立ちはならん。その必要を見込んで仕事をなるがすなわち
営業の魂なんじゃ。

→ナニワ金融論の世界ですね。確かにこの世の中は需要と供給によって成り立ってい
ます。需要があるから高利貸しも成り立っているのです。高利と知っていて借りてい
るのです。そのサービスがなければ、もっと困る人がいるはずです(延命にしかなら
ないのかも知れませんが...)。借りたものは返すのが人の基本です。それができなく
なると人は倫理上耐えられなくなります。今の世の中は自己破産というエグジットが
あるので、当時に比べるとキャッシングなどの高利について抵抗がないのかもしれま
せん。

○どんな人に読んでもらいたいか。

 明治時代の男は、男尊女卑で「お前を愛している」とは言わないものだと思ってい
ました。それが新聞で連載されて、大衆に愛されていたというのが意外でした。女性
の純愛モノはよくあると思いますが、「明治の男の純愛」を垣間見ることができます。


明治の一大ロマン…… ★★★★★
 正直、書店で運良く手に入れた当時こそやっと欲しい本が手に入ったと喜んでいたが、読む段になってみると擬古文調で400ページを超える文章が果たして読了できるのかと戸惑いを感じた。実際、読了するまでに三回挫折した。ただ、挫折しながらも擬古文と相俟った重厚なロマンスは驚くべきものだと読み返しながら何度も感じていた。読了してからは本心から途中で投げてしまわなくて良かったと感じた。未完ではあるが、救いようのない境遇から徐々に立ち直っていく主人公間貫一の姿には感動と微かな憧憬さえ覚えた。
 筋は有名なので改めて書くまでもないと思うが、主人公が将来の許嫁の鴫沢宮が金に釣られて他の男に傾いたことに絶望し熱海の海岸で宮を足蹴にし高利貸しの手代となって金銭の鬼となる、というもの。描写と言い、筋と言い、若干ドラマティックすぎる嫌いがあるかも知れない。が、著者の仕掛けた構成の巧みさにはさすがに驚かされた。一難去ってまた一難、これが延々と繰り返さるわけだが、金銭の鬼と化した貫一の宿命やかつての友人達との関係が巧みに描かれ、思わず引き込まれてしまった。解説ある自分が死してのちも、金色夜叉の連載を墓前に捧げてくれといった一読者の気持ちも、大げさなようで読了した方には分かってくると思う。
 確かに読むのは大変だ。が、読んだ後には必ず感動がある。未完の作品とはいえこの作品の持つ味わいはとてつもないものだ。お勧めする。