雰囲気。
★★★★★
「お金のためだったの?」
「そうよ」
娘がそう答えたときの、お母さん。
オレは、そこが一番忘れられません。
愛情、
経済環境、
家族、
人種、
それぞれの交錯する気持ちが、
サイゴン(ホーチミン)の埃っぽい街の雰囲気に包まれながら。
生々しくもあり、
純粋でもあり、
退廃的で、
初々しい感覚が、
街のカオスに溶け込んでいます。
これは、良い映画。
時間が経過した今、読んでみると・・・
★★★★☆
学生時代、映画を観て感銘を受けた作品です。原文でも読んでみたくて購入しましたが、結構読みづらかったです。でも、映画の時と同様、感動しました。学生時代の見方と、最近の見方ではまた若干、異なりました。自分自身が大人になってしまった証拠なのでしょうか。当時の方が純粋に観れて、涙を流したような気がします。またいつか読んでみたら、どのように感じるのでしょうか。
買いです。
★★★★☆
デュラスの作品はその構造性と、前の語を継ぐように文を紡いでいく文体が魅力ですが、本作「愛人(ラマン)」は映画化されたこともあり、「モデラート・カンタービレ」と並んで最も知られた作品です。デュラスに限らず、フランスの作家の作品は総じてモノクロの陰影に富んだところが好悪の分かれ目で、僕自身も総体的にすべてを受け入れられる許容は持ち合わせませんが、それでもデュラスの作品は先に挙げた「モデラート・カンタービレ」など好きな作品が多いです。
文体というヴェールとレリーフ
★★★★★
美貌で怠惰で生活力のない中国人青年 ばらばらな家族 エレーヌ・ラゴネルとの友情 15歳のアルバムに哀しみを直視する冷静さ 甘美な愛のリズムのたゆたい 恋が家族が広げるもの思いの どこか超然とした解釈をおりまぜて追憶の得がたさを実感させてくれる 高樹のぶ子より肉体と精神のバランスがとれ品位と独自性があり 中山可穂より凛として情景描写のすみずみにまで作者の魂を感じる
辛い現実を思うには いとおしいヴィジョン 透徹した感性と思考が必要だ
本書は両者を備えている また作家志望者は自己顕示欲だけでなく喪失をおそれて書きのこそうとするのだと思った
うーむ
★★★★☆
フランスで150万部も売れたという、たいへん有名な作品。デュラスというのはこれしか読んでないからしらないけれど、前衛的作家らしく、これでも読みやすいらしいけれど、あれ、あまり読みやすくはない。すらすら読めるけれど、なんとなく頭に入ってこないかんじ。
まぁ、描写と文体は立派であり、挿話のいれかたも芸術的なほどうまく、というか、性描写はそれほどまでないのだけれど、その流す感じの描写で身体記号と主人公の女性の情愛をぴったりと接合させてしまうその技術に舌を巻いた。