「そもそも芸術は危険な「無意味」を志向するもの」
★★★☆☆
ヴィスコンティ、フェリーニ、ブニュエル、パゾリーニ、ヘルツォーク・・・
あるいは『顔のない眼』、『吸血鬼ドラキュラ』、『ツィゴイネルワイゼン』、『コレクター』(もちろんワイラーの)・・・
氏が本書で評価する作品は「いかにも」なラインナップである。
(ベルイマンは唯一の例外か)
全体の印象として、映画に対する見識を深めるというよりも、澁澤哲学を知るという感じ。
さかんに精神分析に触れるのにも若干、辟易。
ただドヌーヴ論は秀逸。
「道徳観念の欠如した」「デカダン人形」とは、まさに!
川本三郎氏の解説も素晴らしいです。
とりわけ、ドヌーヴ論が素晴らしい
★★★★★
何度読んでもカッコいい「昼顔 あるいは黒眼鏡の効用について」もあれば、ET論なんてのもある。
やはり、カトリーヌ・ドヌーヴ論が良い。
ある時期から、澁澤は映画への興味を失ったようで残念だ。
文学者の目
★★★☆☆
今の時代の映画について語っている訳ではないので
書中に出てくる映画のタイトルにピンとくる人というのは少ないかもしれない。
私もその一人で、語られている映画に関して数タイトル知っていた程度だった。
そういった訳で分かる人にしか分からない本となっているため、
私のような映画に疎い人間には、楽しめる箇所が少なかった。
ただ、筆者の視点は楽しめるし博識に基づいた見解が随所にちりばめられている点
は良いなと思う。