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水中都市・デンドロカカリヤ (新潮文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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闖入者 ★★★★☆
読んだのは云十年前だけど、その時から気味悪い小品として記憶の片隅に
あった。民主党政権下で「在日外国人参政権」が実現しようかという状況下、
国民全部が「闖入者」の主人公のような恐怖を味わうことになるかもしれな
い。地域によっては、日本人が「多数決」で劣勢になる事態も有り得るから
だ。
貧困と不安をユーモアで描いている ★★★★☆
安部公房の短編集。
全体的に不条理なストーリーが多く、他の小説(「砂の女」や「箱男」など)と比べると結末にも救いがない。また、ストーリーの底に流れる貧しさ、政治的な風刺を伴ったユーモアが強いという特徴を持っている。

たとえば、「資本家」と「労働者」、「富めるもの」と「貧しいもの」、「支配者」と「被支配者」など。寓話を元にしたものもあれば、現実への批判を物語を通して行っているものもある。

ある日突然、一人暮らしの男の部屋にやってきた家族が、さも当然のごとく居座り、「民主主義」を標榜して、すべてを多数決で決めることを「民主的生活」と呼んで家の主を搾取する『闖入者』は、読んでいるだけでも激しいストレスを感じるような迫力がある。

非現実的な物語でありながらも風刺的、それでいてユーモアと文学性を兼ね備えている。他の長編小説と比べると政治的意図が濃いのも、これらの小説が書かれた時代と作者の意図がそこからにじみ出ていて面白い。
お魚をつれば、お魚もまた雨の中。 ★★★☆☆
「デンドロカカリヤ」。声に出してみるとよく分かるのだが、これらは非常に気持ちいいことばだ。発音の快感、というか。「デンドロカカリヤ」というタイトルをつけられた時点で、うわぁ負けだわ負け。と脊髄反射で敗北を認めそうな勢い。
あとは、「ユープケッチャ」とか「チチンデラヤパナ」だの。ついでに「ドンゴロス」(これは安部の造語ではない)とか。

「水中都市」は海底に変貌する街を描いた小品だが、そこから意味を汲み取ろうとする無駄な努力を放棄するならば、非常に映像的な一級のファンタジーとして迫ってくる。BGMはぜひとも小室等の「雨が空からふれば」で。NHK「みんなのうた」で放映されたサイケデリックなアニメーションとあわせて楽しめば「水中都市」を思い出さずにはいられないことは必至。Youtubeで鑑賞できるはずです。

「闖入者」は後の戯曲『友達』の原型となる短編だが、これは読むのがツラい。なんの救いもない展開もそうだが、説明口調の文体にげんなりさせられる。これが名品『友達』に昇華されるんだから、安部にとって演劇がいかに大きな意味を持ったかが痛感される。それが後期のエンターテイメント性の獲得にもつながるわけで。
そういえば藤子不二雄Bの漫画『魔太郎が来る!』に「闖入者」そっくりなお話がありましたネ。多分影響は大いにあるでしょうネ。
「変形」をキーワードにして、人間の存在の意義を問い掛けた傑作短編集 ★★★★☆
常に人間の存在の意義・曖昧さを問い掛ける作者の初期の短編集。作者特有の寓話性の高い作品が多いが、「メタモルフォセス=人間の存在の危うさの象徴」と捉えている印象を受けた。物語は寓話的なのに、登場人物の視線は舐めるように読者に絡み付く点は常の如く。

タイトル作「デンドロカカリヤ」は人間の植物化をかなり戯画的に扱ったものだし、「手」の主人公は鳩だが、軍用伝書鳩→手品用鳩→剥製→鳩の像→弾丸と変形を繰り返す。そして、変形は"必然"なのだ。「飢えた皮膚」は、飢えた男が有閑女を"皮膚が保護色になる"と脅かす話だが、最後の一頁で作品の解釈を転回させる秀作。二重の意味で変形を扱っている。「詩人の生涯」では、詩人の老母(39歳!)はジャケットに変形するが、極寒の中、息子の身体を包む。そして、詩集が完成すると...又しても二重の変形。そして、もう一つのタイトル作「水中都市」では、音信不通だった主人公の父が魚に変形し、街自身も水に覆われるという異形の世界が、ありふれた物語のように淡々と描かれる。

そんな中、「闖入者」は、主人公のアパートの部屋が突然見知らぬ大家族に乗っ取られるという不条理的冒頭から、民主主義の多数決と無関心が"個"を押し潰す様を戯画的に描いた、作者の作風を代表する秀作。「鉄砲屋」は無垢な島民を、自由主義が席巻する様を皮肉タップリに描いたもの。

「変形」をキーワードに、高度な小説技法で人間の存在の意義を問い掛けた傑作短編集。
シュール ★★★☆☆
シュールです。

私が気に入った作品は比較的シュールじゃない所で「闖入者」で、シュールな好みでいくと「水中都市」でしょうか?中でも1番好きな短編は「飢えた皮膚」です。もしかすると、この短編集の中で最も安部公房臭が低いかもしれませんが、とても気に入りました。あまりにシュールな展開や情景ですと、私の想像力が届かなくて(あくまで受け手の問題です)物語の中に入り込む楽しさは薄れますが、その事が象徴する《何か》を考えてみたくなり、その事について誰かと話してみたくなります。


鳩の銅像というか、それに付随する意識を主人公にしてみたり、コモン君という人物が植物に変身してみたり、とにかく展開も描写も飛び抜けてます。それでいて物語として破綻したりもしていませんし、破綻している様に思えて、何かあるのではないか?と思わせます。何故だか高橋源一郎の「さよなら、ギャングたち」を思い出しました。高橋さんの方が分かり易いけれど、でも初期の源一郎さんも私は好きです。


シュールな絵や、突飛な展開がお好きな方にオススメ致します。