<哲学を文学に 文学を哲学に>換える<20世紀のソクラテス>ことアラン先生のウィットに富んだ温かい言葉の数々は、哲学を身近に感じさせてくれるだけではなく、時として読者をしかり、へこませ、そして最後には必ずその指針を示して読者の肩をやさしく押してくれることでしょう。
個人的な話になりますが、私は自暴自棄に陥る度にこの幸福論に収録されている<悲しいマリー>というプロポの
「悲しみは、何の粉飾もない疲労か病気にすぎない。裏切りよりも胃腸病のほうがずっと耐えやすい。それに、本当の友がいないなどと言うより、血球が足りないと言うほうがずっといいではないか。」
という言葉をよく読み返したものでした。
言うなればこの本は、様々な効用を持った言葉が散りばめられた薬箱と言ったところです。
ただ<良薬は口に苦し>と言うように、結果にはそれなりの刺激は伴いますが・・・。
人によっては劇薬なんてものもあるかもしれませんが、これを機に一服盛られてみるのも一興かもしれませんね。