日本人の心のよりどころ・・・
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幸田文さん青木玉さんのファンで、二人の著作を本屋さんで見かけるといつも購入しています。
父露伴のしつけの章は初めてではなく、既に彼女の別の作品で読んだことがありますが、これ以外のものを眼にするのは初めてです。
このように、あちらこちらに書かれた作品を一つのテーマにおいて一冊の本にまとめているのはいいですね。時代が違っても割合普遍性があって身近な話題でもあり、とても楽しく読めました。女性雑誌の中で人生相談のようなことを受け持っていたのは、意外だったしけっこう面白かったです。
ほかのものでも、幸田文という人の率直な性格とか闊達さとか気さくさ、ユーモアなんかも窺えると思います。どこか、江戸っ子気質も窺えるような気がします。そして、こちらも不思議と闊達に笑ったりができるし、なんだか元気が出てくる気がします。
また、幸田文程の人でも色々な失敗をしてきたんだなと、どこかほっとします(笑)。尤もちゃんと学ぶ人だったんでしょうけれど・・・。
しつけというと何か大げさなものを想像してしまいますが、改めて家庭教育というか家庭での教えの大事さを再認識させられますね。
このごろ、日本人のコミュニケーション能力とか生活全般に関わってくるような常識とかが崩れていっているようで、色々なところでトラブルが起こったり、子供同士から大人にいたるまで、付き合い方とかがおかしくなって事件にまで発展してしまうのを思うにつけても、昔はあったであろう、家で教えられる生活の知恵とか作者が言うような本人の性格の弱点を救う教えみたいなのが、改めて大事なんだなぁと考えさせられます。
また、彼女の生活を楽しむ心もいいですね。
娘さんの青木玉さんの結婚式のときの言葉がいいです。楽しくしている母さんを見ていきたい・・・とってもじぃんときます。
我々もまた、楽しくしている姿を愛する者たちに見せられるよう、また彼らに楽しくしてもらえるよう、過ごしたいと思いました。