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挾み撃ち (講談社文芸文庫)

価格: ¥1,029
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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反ナルシズムの散文性 ★★★★☆
 この小説における〈現在〉と〈過去〉の挟み撃ちは文学における挟み撃ちでもあるのだろう。しかし書かれた言葉に縛られながら、ある種の諦観とともに冒頭で否定的条件を羅列させる(裏を返せば書かれていないものを見出そうとする)この小説において、「外套探し」とは果たして副次的なものなのだろうか。蓮実重彦が指摘している「反ナルシズム」は途中、物語が一瞬混迷したことによって断ち切られたのではないか。
不思議な魅力のある作品 ★★★★☆
筆者がゴーゴリの強い影響を受けているということで、実際、ロシア文学を読む時に感じるような、静かな迫力といったものを感じました。

特に劇的な事件が起こるわけではなく、ただただ「外套」をめぐって主人公が動くだけですが、その過程において、実にゆっくりと、様々な回想などを挟みつつ、過去が再訪され、そこにいた人たちが再訪される、それが読み終わる頃からじわじわと不思議な感触となって残っていきました。実際、少し前に読んだもので、何か印象的な場面が残っているとかいう感じではないのですが、むしろ何気ない場面がなんとなく残っていたりします。

現実/虚構のようなテーマが好きな方も楽しめるのではないでしょうか。