美しく、やがて悲しい、孤高の生き方
★★★★★
司馬遼太郎原作、結束信二脚本、栗塚旭主演。
テレビ史上に残る名作。以後の新選組を描くドラマのほとんどが、この作品の影響下にある。
昨今の大量制作、大量消費される、視聴者を小馬鹿にした、
未熟な軽薄ドラマとその成り立ちや内容を全く異にする。
テレビ草創期に、新しい表現手段としてのテレビ映像文化を担った者たちの、
未知の地平を切り開く、気概に満ちた作品。
尖ったあご、細い眉、物欲しげな目。アニメを写したような、
まるで同じ顔をして、一人一人の区別がつかないような俳優たちは、ここには登場しない。
「第19話 あかね雲」斎藤一と薄幸の少女おしずとの心のふれあいを通して、
戊辰戦争前夜、伏見へと後退していく新選組の悲哀を描く。
「第20話 その前夜」かつて油小路で高台寺党を粛清した新選組だが、
ここでは局長近藤勇がその残党によって狙撃される。
開戦前夜の束の間、原田左之助は、新しい命を自らの手で抱く。
それが、この世に残す、自分の生きた証のように。
「第21話 夕陽の果て」戦闘は隊士たちの命を容赦なく奪う。目を覆うばかりの惨状。
永倉新八は傷ついた隊士を、家へ送り届けようとするが・・・
「第22話 海鳴りが呼ぶ」監察山崎死す。大坂へ落ちた新選組は、
富士山丸で再度の退却を余儀なくされる。
山崎の水葬は、海軍の礼式に則り、厳かに行われた。
泣くが如く、叫ぶが如く、海鳴りが呼ぶ。