司馬遼太郎の悲鳴ともいえる怒りが伝わってくる。
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本書の中での、”ぬやま・ひろし”さんとの対談は、不動産バブル崩壊の何年も前のことである。
この対談中で、司馬さんは、不動産が商品化されて増幅してゆくことに対して声高に警告を発していた。
”松下幸之助”さんとの対談でも土地の問題は、資本主義とか、社会主義とかの社会体制は関係なく解決しなければならない問題だと繰り返し説いている。
本書の中で氏は、自由資本主義社会でも踏み込んではいけない領域や、ルールがなければならないとも発言している。
この対談から何年も後に出版された著書「アメリカ素描」を、本棚から取り出して拾い読みしてみたら、氏がウオール街を訪ねて、ノムラ・セキュリーティ・インターナショナルの寺沢氏との会話の中でも、今日の金融危機を予見している言葉を見つけて、氏が専門ではない経済問題に於いても鋭い嗅覚と洞察力を持っていたことを知った。