ページ数はとても多い。生あるうちにすべてのページを読み終えるのは無理だろう。いや、むしろそのときどきに必要な言葉をひろい、その瞬間に生きる力を得られればよいのではないか。
果てしなく結論のでない心情に問いかけることも豊かな生活をしたいのであればそうすることも必要かと思われる。人間の集中は数十分が本質的には限界というのが通説だ。その短い時間でヨリ深い自我までたどり着くには、このような硬質で強固な文字を読み、声にだし、ゆっくりと深呼吸しながら自己に問い続けるのが健全な本の読み方なのだと思う。たまにはこのような硬質な文体を脳みそへ刺激してあげるのもよいだろう。