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虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか

価格: ¥3,024
カテゴリ: 単行本
ブランド: トランスビュー
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現代の我々にも「○○の信仰」が蔓延しているかも知れない ★★★★★
本書は、西欧で仏教経典の翻訳が進められた19世紀(1820〜1890年)に、仏教が「虚無の信仰」として怖れられた経緯を解明している。25歳(1826年)でパーリ語の解読に着手し、31歳(1832年)にパリのコレージュ・ド・フランスで西欧初のサンスクリット講座を担当した天才ウージューヌ・ビュヌルフが43歳(1844年)に著した『インド仏教史入門』という大作を著した。
彼はその本の中で、“涅槃(ニルヴァーナ)、すなわち完全なる魂の消滅の状態に入り、最古の学派に依れば、そこで身体と魂の決定的な破壊が行われた。…中略…釈迦にとっての涅槃は、最古のものと思われる遺跡などにすでに現れている「空」という言葉からみて、釈迦は思考原理の消滅の中に至高の善を見ていたものと思われる。釈迦はそれを、消えるランプの光の消失のようなものとして描いた。”(p.136)と述べた。
この不十分な仏教に対する理解が、西欧で芽生えたペシミズム的な哲学と結びついて「虚無の信仰」を拡大させた事実を知って、現代の我々も過去から引きずったままの「ステレオタイプの理解」から「誤った信仰」から抜け出せていないことを改めて気づかされた。それは、実証に基づく科学の歴史でもそうであったし、実証が困難な精神文化の歴史では信仰の最中と言えるかも知れない。