徳川宗賢氏が面白い。
★★★★☆
方言の言語圏が高知県地方におよんだとき・・。司馬さんが、私は、どういゆう訳わけだか、高知県の名誉県人なんですよ。へんな自慢なんですが(笑)。
徳川さんが、ふところに手を入れている、困りものの男(坂本龍馬)のことをお書きになったからでしょう(笑)。
司馬さんが、私に言わせると、徳川幕府がボロボロになっていたからですが(笑)。
徳川さんが、いや、いや、あの人は立派な人なんです。夢があります(笑)。本当はああいう人が好きです。
明治維新から百何十年たった今でも、宗賢さんのウイットを交えた応酬の中にも、徳川御三卿のひとつ田安家の子孫としてのこだわりがあるのが愉快に思える。
活字としての対話を楽しむ
★★★★★
まず「対話」ということに興味を持って、【司馬遼太郎対話選集】を集めてみることにしました。
わけても<日本語の本質>というタイトルは、大変魅力的です。
とはいえ、文法云々ではなく、いきなり中世歌謡「閑吟集」「梁塵秘抄」の話になります。
わが子は十余になりぬらん
巫女してこそ歩くなれ……
以下の目次を見て、面白そうな章から読んでみました。
・中世歌謡の世界
・日本文化史の謎
・空海・芭蕉・子規を語る
・日本語その起原の秘密を追う
・日本の母語は各地の方言
・<人工日本語>の功罪
蛇足ながら、標準語圏から離れてみて、初めて標準語的な敬語の無理さ加減、というものを体感しました。
これは、最終章の「<人工日本語>の功罪」にも、若干つながることかもしれません。
小説家だから広い発想が魅力
★★★★★
この書は、「日本語はどこから来たか」だけでなく、日本語の持つ魅力を縦横に語った選集。
対談者は、文学者や言語学などを専門に研究されている方々ですが、全体的には司馬さんの知識に押されていますね。それほど、司馬さんの知識は広いということでしょうか。
また魅力的になのは、小説家だから語れる広い発想です。得てして、専門家は限られた資料の中での考察が多いのかもしれませんが、司馬さんは時を越え、地域を越えた見識で、日本語を語っているという感じです。
日常では余り考えない私たちの言語を、見つめることができる書です。