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背教者ユリアヌス (下) (中公文庫)

価格: ¥860
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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汚名でしかない『背教者ユリアヌス』 ★★★★★
この作品は辻邦夫氏の主人公に対する深い洞察で綴った創作として優れているばかりでなく、ローマ皇帝ユリアヌスの実像に迫った稀有の大作でもある。また大部の小説だが、彼の短くも劇的な生涯とその愛すべき人間像に惹かれて、本から目を離すことができないのは著者の構想の雄大さと、読ませる術に長けた巧妙な書法に負っている。

ローマに理想の哲人政治を夢見て、道半ばにして果てたユリアヌスの生涯は歴史的な事実をみても確かにひとつのドラマだ。彼のカリスマ性と権勢にきっぱりと背を向けた治世が帝国に一大改革をもたらすべく着手されつつあった時、その早過ぎる死によって高邁な計画が断ち切られてしまった。著者は彼の死を清澄な雰囲気の中に描ききった。それだけに最後の数ページは、この長い小説の中でも最も美しい部分だ。そこにはユリアヌスの無念というよりは、むしろ定められた運命を率直に受け入れて、精一杯生き抜いた人生に対する、ある種の静かな満足感さえ感じられる。確かに結果的にみれば彼の東征は失敗に終わった。しかし彼のローマ皇帝としての治世を辿ると、わずか二年足らずの期間であったにせよ、彼が目指した理想のローマへの着実な一歩を踏み出していたことに疑いはない。皮肉にも後のキリスト教信徒達による呼び名『背教者ユリアヌス』は、時代と共に定着してしまったが、それは彼に着せられた全くの汚名でしかないことも知っておかなければならない事実だろう。
独特の流麗な文章に酔いしれよう ★★★★★
 最初に読んだのは、高校受験から解放された時だった。美しい日本語で語られるローマの世界に引き込まれ、文庫3巻を一気に読んだ。後に知識がふえてから読み返せば、何もわかっていなかったことを思い知らされ赤面するが、そういう子どもをも自分の世界に引き込む、不思議な魅力を持った作品である。
 比べてはいけないかもしれないが、女性の塩野七生氏のローマものが、どこかサラリーマン向けというか教訓的な感じがあるのに対し、こちらはそういうものは一切感じさせない、純粋な一大叙事詩だ。書かれている時代が短いのでローマ全史入門というわけにはいかないが、流麗な文章に酔いしれることができて知識もちょっとふえるという、お勧めの作品である。
皇帝ユリアヌスの無念の死 ★★★★★
3巻に分かれたこの大傑作も遂に最終巻を迎える。本巻もユリアヌスの劇的な生涯を余すところなく伝えて読者を飽きさせることがない。皇帝コンスタンティウスの政策に反発したガリア兵たちによる皇位登極要請の受諾およびその決断に至る苦悩、東方への進撃、コンスタンティウスの死による帝国の統一の実現、宮廷政治の革新(彼の足をこれまでひっぱってきた者達の処罰は痛快)、運命のペルシア遠征出発、笛吹けど踊らぬローマの神々復活政策の不成功およびその象徴たるアンティオキアのキリスト教徒との対立、ペルシアへの侵攻およびその失敗、そして異国の地で迎える死。こんなに短くも波乱に富んだ生涯を送った皇帝は他にいるだろうか。忠臣たちに囲まれての臨終は、まるでギリシャ神話の英雄の死であるかのごとく、悲しくも気高い。そして彼の遺骸を皇帝旗につつんでローマ軍がペルシアを去る姿は、高い理想を掲げつつも、成し遂げられなかったことがあまりに多いユリアヌスの無念といつの時代にも変らぬ諸行無常を感じさせずにはいられない。この壮大な小説の最後を飾るにふさわしい最終巻と言えるだろう。
ロマンチックな叙事詩的大著 ★★★★★
あまりにも美しく、精密な言葉で読み手にローマへの感慨と渇望を呼び起こさせる大著です。叙事詩的な言葉遣いにも圧倒されますが、なによりも綿密につづられた史実に正確なストーリーと、えも言えぬくるおしい思いを感じさせる登場人物の個性にそのすばらしさがあります。一つ一つの台詞は時には葡萄酒様にの甘く、時には稲妻のように戦慄をともなって広がり、物語をよりロマンチックにもり立て心を高ぶらせるのです。ある程度は登場人物についての知識が必要となる場合もありますが、ローマ帝国について興味をお持ちの方、又そうでない方も、堂々とお勧めすることができる一冊です。