明治維新後の生活がつづられています。
会話のかたちで、当時の政治の状況説明がはいり、
歴史に詳しく無い私でもとても解りやすく読みすすみました。
又、隊員達が登場すると、
名前のあとに、ちょっと容姿の説明が入るのでどんな姿の人だったのか
想像しやすく、それもとても楽しめました。
第二次大戦中の話を身近な人物から聞くと、
「政治の状況なぞ知らずに、
その立場立場でせいいっぱいやってきた」ということを感じるのですが、
この物語の主人公にも、それを強く感じました。
南部鉄瓶を肌身離さず持ち歩き
「南無妙法蓮華経」と鋳込まれた部分を指でなぞり
念仏を唱えつづけ
「手を掛けた者や非業に倒れた者」の位牌に見立てていた。
という人物像は、今まで私の持っていた
新選組のイメージとは離れたものがありました。
会津藩士が巧みに輪乗りしながら馬上で口上を述べ駆け去る場面。
薩摩の洋式銃隊の入京の様子。
「新選組、見参!」と永倉が古風に名のって、
洋式装備の長州兵に切り込む場面。
など、まるでドラマを見ているように画面が頭に浮かんできました。
島田魁の妻となる、おさと の可愛らしい様子も
この物語に花を添えています。
主人公の朴訥な性格に惹かれてとても面白く読みました。
新選組隊士の一人の飾らない姿が描かれています。
これは、読んだかいがありました。面白い本です。