文系の学生向きのていねいな入門書
★★★★☆
さきのレビューアのコメント―不動点定理にも1章がさいてあるというー
を見て読みました。[買いました]
進化ゲームなど現代的テーマまで、含む親切な解説書で、文系の学生に
わかるように書いてあると思います。
不動点定理については、イメージがつかめるようにグラフを使って説明
してあります。
不動点を計算するスカーフの方法が書かれているのが特徴です。
本文の説明は、あくまでイメージをつかむためのものなので、定理のくわ
しい内容は、ほかの本で読む必要があります。
その意味で、もう少し、詳しい参考図書の紹介が付くと、もっと役立つと
思いました。
本当に分かりやすい
★★★★★
期待効用理論やゲーム理論における「予想が当たる」という文言の意味など、基礎的それ故に非常に重要な事柄について、これでもかというほど丁寧に説明している。本当に理解している人の頭の中を垣間見たような感じで、イメージに基づいた説明が非常に巧みである。
同じ日本評論社の本で、ゲーム理論の定番と言えば梶井と松井の本が当たると思うが、こちらは見かけに反して内容が(まったくの初心者には)高度であり、行間を読むことを要求するのに対し、本書は説明のステップを飛ばさずにすべて解説しているという感じである。
授業の副読本や独学の書としてお勧めです。
画期的な入門書
★★★★★
ゲーム理論を初めて勉強する人にもわかるように書かれているが、発展的な学習を射程においた入門書である。
この本の大きな特徴は、トピックを絞り、ゆったりと解説しているところにある。通常の教科書よりも、いくつかの基礎的な概念を掘り下げて説明しているほか、それまでに一度書かれたことも、重要であれば繰り返し強調されていて、独習に全く支障がなく、一気に読み進めることができる。
特にページを割かれているのは、ナッシュ均衡の存在の証明と、ナッシュ均衡の絞込み。これらの概念は、上級以上のマイクロを学ぶ上で押さえておくべきものであり、上級書を読んで理解できれば必要ないが、理解できなかったときに参照する本としても貴重な存在である。逐次均衡について説明されている本は、中級以下のテキストとしては非常に珍しく、英書も含めて、私の知る限り、もっともやさしく書かれている本である。
その一方で、上記のような内容になっているため、ページ数の割に、扱われているトピックが限定的である。そのため、おそらく、中級以下のマイクロのテスト対策としては、最も役に立たない入門書の一つであろう。囚人のジレンマにへぇ〜っと感心し、なんだかよくわからないけどナッシュ均衡を見つけられるようになりたい、という向きにも不適である。極言すれば、中級以下で勉強をとどめるつもりならば、この本に書かれている内容のほとんどは無用とも言えるだろう。
以上のような点から、この本は、入門書というより、リーディングとして捉えるとわかりやすいかもしれない。そのため、ゲーム理論の入門者には、この本とともに一般的なテキストも用意する必要がある。
残念な点を挙げるとすれば、発展的学習のための文献紹介や用語の英語表記がほしかったことと、逐次均衡を扱っているものの、ベイジアン完全均衡について触れていないため、それらの関係をこのほんだけではつかめないことぐらいである。
*同出版社の本によくある誤植もかなり少ない
中級入門書として
★★★★★
中級入門書としてとらえるといいと思えます。初心者が入門書としてとるとゲーム理論から遠ざけてしまう危惧があります。利得の算出などには触れていなくて、前提か適当に置くという形です。それは、ゲーム理論というのは、プレイヤー、戦略、利得、情報状態が前提になってからの議論だから当然です。現実的に使おうとすると、プレイヤーの特徴、戦略の発想、利得の算出などを当然しなくてはなりません。それがそろったときからがゲーム理論の出番なのです。通常の学者のゲーム理論は当然そこから始まっています。その意味で中級の入門として高く評価したいと思います。
ゲーム理論の入門書としては格段に優れている
★★★★★
ゲーム理論の基礎的な教養書を複数読み、利得の設定やナッシュ均衡にあいまいさを感じて、「所詮ゲーム理論は使えないな」「単なるアカデミックな一道具に過ぎないな」と思っていましたが、このレビューを見て、「ゲーム理論最後の1冊」と思って読んでみました。
ところが、読んでみてビックリ! 感動でした! 多少むずかしい数式を用いて、厳密に説明している部分が、逆に論理にあいまいさのないスッキリ感を僕に与えてくれ、「もう一度ゲーム理論を勉強してみようかな」と思わせてくれました。今は「ミクロ経済学・戦略的アプローチ」を読んでいます。
本当にすばらしい本を書いてくれて、ありがとう!