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悪の対話術 (講談社現代新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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他者としっかり向き合うことから逃避する人が増えているという。パソコンのチャットに精を出し、ケータイを手放せない若者たち。しかし本書は彼らを分析し、説教し、社会の矛盾を追求する、日曜朝の討論番組系退屈本では決してない。対話の難しさを知り尽くしたうえで、あえてすすめる著者の論はとても刺激的だ。善意さえあれば理解し合えるという欺瞞はこっぱみじんに。阪神大震災の時、いかに見当違いな救援物資が送られたかなどの例を挙げ、よい人の無神経さ、独善性を斬る。そして、「悪の対話」へといざなう。
著者は今までネガティブなものとされてきた言辞の数々の効用を説く。ののしることができない人へ、洗練された軽蔑の念をあらわすための「お世辞」。「悪口」は共有する相手との間に心を許しあったかのような感覚をもつことができる…。 しかし。魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)するこの世で生き抜く知恵を伝授するハウツー本、というだけでもない。
本書を貫く主張は「決して刹那的に、弛緩した自己を生きないでほしい」「真実を愛するなら虚偽をも知らなくてはいけない」といった、ちょっとしんどいが極めてまっとうなもの。帯のコピー「これが大人のレトリック 言って勝つ生き方」に惹かれて購入した向きも、それ以上の果実を手に入れることだろう。(高橋伴子)
人と人は分かり合えない ★★★☆☆
著者の言ってることは分かるしむしろ激しく同意したいと
ころだが、本書は所謂手っ取り早く会話術が身につく本で
はない。むしろ素朴な性善説に基づく会話から脱却し、計
算と緊張を楽しむ大人の会話への意識改革を目指すもので
ある。従来のハウツー本で満足できないひねくれ者?にお
勧め。
エスタブリッシュメントへの誘い ★★★★☆
冒頭において福田は善人とその善意、そして彼らが素朴に信望する対話における
「話せばわかる」というヒューマニスティックな考えを軽蔑する。要するに彼ら善人は、
自分が善人だとわかっており、善人がやることなら多少のミスやありがた迷惑であ
ろうと、周囲は受け入れてくれると鷹をくくっていて、「鬱陶しいし、迷惑」なのだ。そ
んな著者が本書で披露するのは、自分が「イノセントで無垢な存在ではない」(=大
人)という前提から出発する「悪」の対話術である。

そんな本書で次から次へと解説される「お世辞」「悪口」「虚偽」「礼儀」などの立ち
居振る舞いは、もちろん額面通り受け取るべきではない。それら行為にアイロニー
やメタメッセージを込めたさまざまな使用が、本書では明かされるのだ。

そんな対話の戦術を磨いてどうすんの?と思う向きもありうるかもしれない。皮肉た
っぷりに褒めたところで、それを額面通り受け取られ、相手から無用な好意を抱か
れるのもめんどうだ。この「対話すべき相手はどこにいるのか?」という問いに著者
は最終盤で応えており、要するに対話の技術が磨かれれば、より高い階級の人た
ちと会話できるようになる、ということなのだ。

それがどこまで本当かわからないけれど、こんな「技術」を自分一人でひた隠しにせ
ず、実話もまじえて出版して公にしちゃう福田和也さんって、意外と「いい人」なのか
もしれないと思う。
章ごとに読者を試すような筆者の押し引きがたまらない ★★★★☆
他のレビュアーの方々のご指摘通り、対話(人間関係)において、
単に幼いこと、素直なこと、無意識に純粋であることは
決して「善ではない」ことを通底奏音としている。
あえて短く言うなら「常に意識的たれ」「過程を楽しめ」という点が要諦と受け取れました。
氏の著作の中では、ややエッセンス的な表記によりまとめられた印象と思います。
ただ、わかりやすい比喩などを用いて、読者に向かってぐぐっと熱く押してくる章
(例えば4章「虚偽と韜晦」)と、
ポイとこちらへ投げ出しやや困惑させるような章(例えば8章「紹介と自己」)との
配置とバランスが、読み進めるうちに波のように心地よくなるから不思議です。
10章「観察と刺激」〜11章「焦りと緊張」のあたりの流れは、
現代および現代の若者への氏の熱い思いがふつふつと文章の行間に感じられ、
内容もその熱さも、個人的にはツボでした。
悪とは? ★★★☆☆
「悪」になるすすめの本。悪になるとはすなわち,意識的になるという事です。「素朴さが,何らかの意味を持つと考えるのは,とても幼いことです」(pp.67)
素敵な悪の世界への誘い ★★★★☆
根底にあるのは「全ての対話に対して意識的であれ」ということ。
イノセントで無垢であること(=みかけの善)を良しとする子供じみた価値観を卒業し、常に自分の言動に対して意識的になること(=みかけの悪)によって、人間的な成熟を図りよりよい対話術を身につけよう、というのが主題です。

そして結局、対話に対して意識的になるということは、とりもなおさず他人に対して好奇心を持つということであり、それは人間社会で他人と関わりながら生きていく中で最も重要なことの一つである、と論じています。

最近この本の影響で普段の言動に対して徹底して意識的になろうとしている自分に気付いて、ひとりで可笑しくなったりしています。

大人になるってこういうことかあ、としみじみ思ってみたり(笑

ちなみにこの新書は「意識的であること」を核としていますが、中身は具体的な笑える話がいっぱいで、気軽に読んでもかなり楽しめます。
お世辞の仕方、悪口の言い方から、社交について、あるいは話題の作り方まで、盛りだくさんの内容となっています。

知的な笑いを求めている方におすすめです。