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定家明月記私抄 続篇 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,188
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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日記を読む、ということ ★★★★★
昔の人の日記ほど、当時の人間の考え方、価値観が生で伝わるものはない、といえるかもしれない。平安から鎌倉を生きた定家と我々21世紀の日本人の間に、死生観をはじめとする価値観の隔絶があるのは当然として、むしろ変わらないものというのは、親子の情なり儒教や仏教など大きな背景を通じた文明なりの、「やまと民族」という枠を超越した部分である気がしてならない。たとえば、当時の人々が和歌に託した思いや情感・思想を、我々がただ名目上同じ民族であるという事実だけで味わい読み取ることができるはずもなく、恐ろしいほどの知識の蓄積が、そこには求められるのだ。
著者は藤原定家という当時の文化を代表する知識人の日記に対して、独特の距離をとる。「定家の日記の読み手である著者」の文章の読み手である本書の読者は一種の入子構造を目の当たりにするわけだが、そのことを意識させることがこの距離感の狙いであると受け取った。
「それぞれの時代の文化は、それぞれの言葉に含まれた暗黙の信号を含むがゆえに文化なのである。文明は説明可能なものによって成る。」 至言であろう。
定家をとおして見た鎌倉初期の時代と宮廷 ★★★★★
同じ題名の続編であるが、定家は後鳥羽院の怒りをかってしまう。なぜ? 息子の出世に努力する定家は和歌を家の芸としてゆくためにその方法論を書物にまとめる。後鳥羽院の恨みがすごい。著者は明月記の書く定家の生活を通して見た中級貴族たちの生活、鎌倉幕府との争い、京都の街の飢饉などについて詳しく解説し面白い。昨夜の賊は誰か? 家の表に累々と死体がころがる。そんな夜も月は美しい。80歳になっても毎日当時の書物を筆記する定家。紫式部の源氏物語が今日まで残ったのも、この定家の努力によったのだった。和歌の聖人定家とは果たしてどんな人なのだろうか。