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レトリック入門―修辞と論証 (SEKAISHISO SEMINAR)

価格: ¥2,205
カテゴリ: 単行本
ブランド: 世界思想社
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体系だっています ★★★★★
古代ギリシア以降,切り離されていたレトリックの2つの側面〜修辞と論証〜を認識論から組み立てなおし,古今東西の用例を加えながら分かりやすく説いた書.

柱となるのが直接的類似性・プロトタイプによる提喩(シネクドキ),結合性・クローズアップによる換喩(メトニミー),そしてその両者をまたぐ間接的類似性による隠喩(メタファー)の3つ.それぞれの違いを詳しく論じながら,これが修辞法でも議論法でも大きな役割を果たしていることを示す.

論理的思考がもてはやされる現代だが,多くの人に説得力をもち,共感を呼ぶのは必ずしも論理的に正しいものとは限らない.言葉自体の問題ではなくて,その背後に横たわる人間の認識パターンがものをいうからだ.誰しもネットで情報発信できる今,2000年以上の歴史を経て,一時廃れていたレトリックの重要性が高まっている.

アリストテレスからキケロ,クインティリアヌス,さらにはペレルマン,トゥールミンに至るレトリックの歴史が平易に解説されていて分かりやすい.また豊富な実例・引用は,それを読んでいるだけでも面白い.
文彩入門。議論法は? ★★★☆☆
私にとっては、「レトリック」について始めての本。
第1部のレトリックの概要と第2部の基本3文彩については、恐らく著者の専門領域なのであろう、まさに入門編として読んだ私としては、意義があった。しかし、第3部「論証的説得」については、あまり専門とは思えずアラが目立った。

「<私と太郎は友達>かつ<太郎と正夫は友達>ゆえに<私と正夫は友達>」について命題論理学の推移率が成立していないの指して、「論理学では推移率は恒真式なのに日常的言語では必ずしもそうではない」と表現しているのも、論理学について素人ではないかと思わせる。論理学の無力を示してレトリックの有効性を言いたい気持ちからだろうが、これは価値判断を問題としないのだから、論理学によって上記の主張を「偽!」とする場面であり、むしろレトリックの役割は、この論証を支持して相手を説得してしまうことであろう。

また、「節制は良い。放埓は悪いから。」を「放埓と節制が矛盾対当の関係に置かれている」ことで根拠付けられると言うが、これは、「良い」と「悪い」が矛盾対当であるのは当然の前提としても、まだ「節制も悪い」という可能性を否定できず、根拠たり得ない。この著者が最近「ロジカルシンキング」本を出したと知って、びっくりしている。

なお、「日常的議論」とは、客観的な論理学的議論に対して、人の主観的価値判断に基づく議論のことで、正にレトリックの活躍する領域だとのことで、なるほどと思う。今までは、「根拠とする価値観が違うんだから議論にならない」と整理してきたが。