マイノリティと人間の業
★★★☆☆
梁石日の著作の主題の多くは、「マイノリティ」と「人間の業」であると思われる。
本作にもそれは当てはまり、出稼ぎ外国人や在日韓国/朝鮮人といった登場人物が自らの過去に怯えたり、それでも現在を力強く生き抜こうとする姿、そして挫折が描かれている。
後半は多少辻褄合わせ的な展開になってしまう嫌いもあるが、この著者に細かいテクニックを求めるのは筋違いというものだろう。
いつもながら一気に読ませる力量はあり、実際に楽しめたので☆4つとしたいところだが、個人的にはマイノリティや在日を題材としたものを冷静に読めない部分もあり、過剰な思い入れを排して☆3つ。