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ケッヘル〈上〉 (文春文庫)

価格: ¥830
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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素晴しいの一言に尽きる ★★★★★
 作者の作品を読んだのは初めてだ。ケッヘルという音楽物を予感させるタイトルに引き付けられて、走り読みしてみたのだが、文章のうまさに脱帽した。感情を描写するのにこんなにうまい人がいるのだ。一文、一文のクオリティーがとても高い。もう一度よく読んでみて欲しい。すんなり読み飛ばしてしまう表現だが、ある感情を表現するのにこんな文章表現が思いつくだろうか?読み進めるにつれて、自然に主人公たちの感情に同化できて不思議だったのだが、その理由は、一見、突拍子もない表現なのに適格なのだ。適格すぎて、読んでいると痛いほどに伝わってくるのだ。たとえば、・・・いや、止めておこう。皆さんが実際に確認する方が良いだろう。全体の構成も秀逸だ。ユーモアにあふれた会話のやり取りがあるかと思えば、生々しい性描写がある。サスペンスの要素も盛り込まれており、一冊で何通りも楽しめる。一人の人物が、こんなにも多彩に書けるとは!それにしても登場している人たちの人間の描き方の巧みさはどうしたことだろう。実際の人物をモデルにしているのだろうか?確かに浮世離れした設定もあるだが、読ませてしまう筆力がある。たとえば、落ちぶれた指揮者のお父さんの行動様式は普通ありえないが、あれよあれよといううちにそうゆうこともあるかもしれないなと、読ませてしまう。気がつかないうちに伏線が張り廻らされているのだ。だから違和感なく入っていけたに違いない。この作品の評価は必ずしも高くないようだが、作者の他の作品はもっとすごいレベルなのか?それとも読む者の感情を揺さぶり、逆撫でし、読む続けるのに忍耐を要求しているのか?いずれにせよ、久しぶりに凄い作品に出会った。下巻を読むのが楽しみである。
1000ページ一気読み ★★★★★
中山香穂の本を読むのは初めてですが、とにかく面白く一気に読めました

作品はカホという女性目線と
男性の目線で年少期からの思い出とが、一章ごとに交互に書かれています

次の展開が気になるところで、その章が終わり、と言う事が繰り返されているので
ノンストップ、エンターテーメント的に読める

ミステリの要素と純文学の要素とが2倍に楽しめる

たとえば章ごとに基点人物が変わるなどは村上春樹の1Q84を
思い出すが
1Q84よりは数倍面白い

ただ、女性同士の恋愛と比較すると男女の恋愛の筆力が弱いのが
少々気になりましたが、女性同士の心理描写があまりにも巧みに書かれているから比較してしまうだけです。
最初は... ★★★★★
最初は中山さんとは思えない灰色っぽい文章で淡々と進んでゆきます。
でも読み進めると、1つの大きな恋愛で身も心も疲れてしまっている主人公が垣間見えてきます。中山さんはジゴロや弱法師では、割り切った恋愛や狂おしい程の恋を書いていますが、ケッヘルでは終わったあとの心情を中心に書いてます。
ですが、新しい人との出会いや教授(主人公の雇い主でケッヘルのキーパーソン)の生い立ち、顧客達の謎の死を追って行く事で彼女は変わっていきます。

上はちょっとなんだかわからないままで終わりますが、下を最後まで読むとあぁ、終わったんだ...て思えると思います。
中山さんは基本ビアン中心ですが、今回はプラトニックな愛や一方的な愛、子供の親に対する愛が書かれています。
読む人によっては、重い内容かもしれませんが、私は好きです。
私はモーツアルトはさっぱりだし、ケッヘルの意味も知らなかったのですが、この本でモーツアルトを聞いてみたくなりました。
ひたすら凄いと思いました。 ★★★★★
妙に不自然な始まり方からして惹きつけられてしまう。
一人称で語られる2つの異なった話が交互に語られ、ふっと我に返ったとき、自分が今どんな本を読んでいたのか?記憶が飛ぶほどに物語に入ってしまっていた。
 それぞれの人物が魅力的に描かれ、そして展開が全く読めない。目が離せず、仕事中や運転中も その後が気になって仕方がなかった。
 そしてこの上巻を読み終えてた時ですら、この小説がどんなジャンルのものなのか?それすらつかめていなかった。 近年稀に見る 他に類を見ない作品だと思った。
 
なんかスケールが壮大ですよ ★★★★☆
今までの彼女の小説の恋愛ストーリーってテリトリーがあって

その中にはノーマルな人からはやはり確立されている様な雰囲気があり

それも彼女の小説としての魅力だと思ってましたが

ケッヘルは人のルーツを描いています

すべての事柄が巧みに紡ぎあげられていきます

モーツアルト、音楽に興味のある方にはお勧めですし

男の陰湿なプライドも読んでいて嫌悪するくらい丁寧に描かれています

ドラマチックでスピーディーな展開なので、上下イッキ読みです

同性愛テーマというよりも今回は人間愛と出会いとは必然という事を感じました