鏡の中の
★★★☆☆
中山可穂が書くのは鏡に映した自分の姿だけ。この作品集はそれにはある程度の成功はおさめています。
狙いすぎでしょ。
★☆☆☆☆
恋人もそうだけど、私もかなーーーりファンだ。
なのに〜〜なぜ〜〜〜
中山可穂は最近いつも私を裏切るのだろー。。。
なんて斜め下から恨みの目で見上げたりして。
ジゴロ。
タイトルは、おそらく少し古臭い路線を狙ってると思う。
場末のバーがにあう。タバコの匂いと同じように女の匂いをまとったようなdykeをイメージしてるんじゃないかなと。
それは嫌いじゃない。
でもね。
そういう問題じゃないの。
ネタがどうのとか、フラメンコギターがどうのとか、いつものパターンだとかは本当にどうでもいい。
とにかく浅い、浅すぎる。
主人公でさえ、読み終わったらどんな輪郭だったのか思い出せない。
タイトルの短編「ジゴロ」とラストの「上海動物園にて」は相手を鉛筆でスケッチしたような影がおぼろげながら見える。
でも、どれもすでに読んだことがある話に見えてしまう。
新鮮さがないのは何故だろう??
そう考えて思い当たった。
主人公「カイ」とその恋人「メグ」の関係が浮かんでこない。
「カイ」がジゴロを気取ってあちらの女性、こちらの女の子と渡り歩く根拠となるはずの二人の関係が、カイの口からしか語られない。そこにあるべき長い長い歴史と重い恋愛の軌跡がどこを見ても見えない。見ようとしても見えない。
思わず恋人に言ってしまった。
「中山可穂、きっとスランプのとき編集者に「こういう話がうけるからかけ」と言われて仕方なく書いたんだよ」
ファンとしてはそのくらいの理由をつけておかないととても「ファン」を続けられないくらい憤りを感じる一冊。
反論を求む。
といってもきっとこれを好きって人は上読んだら何にも言いたくなくなるよねー。。ごめんなさい。(なぜか謝る)
情事と恋愛の線上
★★★★★
新宿二丁目の路上で出会う、カイを中心とした女性達の恋愛や情事を描く連作短編集。
こういう作品は、それぞれの短編同士との絡み合いを見つけるのが楽しい。
命を賭けるような恋愛の緊張感ではなく、むしろユーモアさえ交えながら、愛情深く登場人物が描かれている。
人生の悲哀や悲壮ですら、他者から見るとどこか滑稽なときがある。そこに、セクシュアリティやジェンダーは関わりない。ビアンだからと選り好みせずに読んでもらいたい。
恋愛ではない情事だけの関係は、時に苦しく、悲しい。
心中は情事ではなく、恋愛がもたらすもの。ジゴロは、恋愛ではなく情事を重ねるもの。
ただし、情事は情事と割り切れる人ばかりとは限らない。心と体は切り離せるものではない。
カイがジゴロたりえるのは、徹頭徹尾、メグだけを愛しているからだ。魅力的でありながら、揺らぐことがないからだ。希望に満ちた最終話は、だからこそ、曇り空が晴れて行くような明るさを持っている。
だから、間違えてはならない。誰もがジゴロになれるわけではない。魅力も覚悟もなしにジゴロになろうとしても、禍根を残すのがオチである。
愛するために
★★★★★
苦しい。やりきれない。けれど、彼女は愛しい人を愛し続けるために、他の女性と関係を持つ。身勝手と言ってしまえばそれまでだけど、簡単に割り切れない所が人間臭くて魅力的だ。それが美しい人であればある程。
この作品はストリートミュージシャンのカイと、彼女を取り巻く女性達の物語。おすすめは、『ダブツ』という女子校生の話。初々しい女の子が、恋をして成長していく所を爽やかに描いている。
読んで後は人を愛したくなるはず。どんなに辛くても…
ハマる
★★★★★
この作品で中山可穂さんの作品にどっぷりハマってしまいました。
とっても美しくて狂おしい、女同士の愛。
ビアンの方はもちろん、ノーマルの方でも楽しめる作品だと思います。