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瑠璃の海 (集英社文庫)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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読者の心の天秤の傾きで変わる評価でしょうか ★★★☆☆
瑠璃の海 小池真理子 集英社 2003

初出 小説すばる20031月−7月

やはり、「死」が題材なのだろう。小池さんの作品の多くは死が題材の様である。それもどちらかと言えば非現実的な、しかし身近に起こりそうな仮想現実とでもいうのだろうか。
バスの事故で夫を亡くした女、娘を亡くしたバツイチの小説家、その二人がバス事故の遺族会で出逢い、結ばれ、終末を迎える。400ページを超える作品である。
ネタばれになるので、結末は書かないが、どうも違和感があるのである。これはもちろん個人の価値観であろうが。文章から映像がすぐに想像されるような上手な進行であるから、読者を物語の中に引き込む。だから読者のその時点の心の天秤の傾き具合で主人公に同化したり、ありえそうな話として読み流せるのかもしれない。自分の場合は後者であったけれど。
一番好きです。 ★★★★★
小池作品は今まで何冊か読んでいますが、
私の中では、これが一番好きです。
高速バスの炎上で愛するものを失ない、最悪な状況の中で
出逢った萌と遊作が傷つき、様々な中傷をうけながらも
愛しあい。最後は長崎・平戸の瑠色の海で人生を終える
萌を石田ひかり、遊作を内野聖陽のイメージで一気に
読んでしまいました、確かに長いことは長いですが
読み応えはある一冊です。
運命に弄ばれた恋の行方 ★★★☆☆
バス事故で最愛の夫を失った萌と、娘を失った作家の遊作。被害者の遺族同士として出会い、男女の関係になっていく。お互い惹かれあっていくうちに、社会に背を向け、周りのすべてを拒絶して二人だけの世界に浸っていく様子は、現実逃避でもあるが、萌の純粋さが羨ましくもある。二人の関係に大きな障壁があったわけでもないのに、何故遊作が死を選んだのか、良く理解出来ないところもあるが、女の視点からは、萌が「一緒に死にたい」と思ったのは理解出来る。二人の恋は「死」によってクライマックスを迎えるが、「人生の最後に辿り着いたのがこの人で、この人と自分は今まさに最後のひとときを味わおうとしている。それは至福だった。何にもまさる至福だった」こんな風に思える萌は本当に幸福をかみしめて旅立ったのだと思う。死を肯定するわけではないが、人は皆同じ生き方は出来ない・・・・。結局、幸福の形は人それぞれということか・・・・。最後二人が瑠璃色の海に身をゆだねた瞬間、肉体は滅んで光りとなって生まれ変わったのだと思える美しいシーンを想像した。
人間という生き物 ★★★☆☆
いやー他の方も書いていますが、ホント長かった〜やっと先程読み終えました。

やはり・・・このような結末になったのか、が本を閉じた後出た言葉でした。
まぁ二人的には甘美な結末でしょうね。
あえて、弱いだの・女々しいだのは言いません
この場を逞しく生きていくことも出来たでしょう、しかしそれが何になるでしょう。
獣と違う人間の崇高なる判断は「自ら結果を出す」こと。
人間以外に出来ない脳的所作ですね
人間とはこういうシナリオも描けるという証明でしょうね
また、他の者を巻き込むのも人間だけですね
一見、袋小路に追い込まれての判断と見間違うところもありますがボクはコレでよかったと思っています。
改めて、人間が生来持っている深い闇とドロドロ感を見せ付けられました。
この男の中で、壊れてしまいたい ★★★★☆
単行本が出た当時の惹句が印象に残っている。
「あなたの腕の中で、壊れてしまいたい」というものだったと思う。
ずっと気になっていながらもタイトルがわからなくて、初めて読んだ。
不幸な境遇に置かれた、一見シニカルでいながら率直な物言いをする男。
そして、感情を表に出すことを抑制し続けた女。
少しずつ、互いに惹かれあい、僅かな誤解で遠ざかるのを繰り返しながらも
ぬきさしならない関係に崩れ落ちていくデティールを、執拗に、丹念に追っていく。
女性の視点から語られるので、女性の容貌についてはほとんど触れられない。
その分、男性の仕草や表情、服装や匂いまでもが浮き上がってくるような
とても映像的な印象を受けた。
女性にかなり感情移入しながら読み、恋人と遊作を重ねあわせて読んだ。
一夜をともにしようとする時、二人の前をカゲロウが横切る様子などもシネマティックで儚さを感じさせる。

恋人と抱き合っている陶酔の頂上で、「このまま死んでもいい」と、危険な思いに
かられる人もいると思う。
それを行動に移すことはなかなかない筈だけれど、稀に実行する人がいる。
幸せな時を永遠にとどめておきたい、愛し合ったままでいたいというのは
よくわかる。
死は永遠の虚無と沈黙ではなく「幸福な無」……
エロスの愛だけを突き詰め、性愛の果てに行きついたのが、死をもって
永遠に愛をとどめることなのか。
なぜ死ななくてはならないのかという疑問を感じながらも、美しすぎる描写に
涙が止まらなかった。

私自身はこの先も繋がれていたい、ともに月日を重ねたい恋人がいるので
星四つです。