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熊 他三篇 (岩波文庫)

価格: ¥842
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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思ひ出 ★★★★★
 作者はアメリカ南部出身で、とにかく南部に関する小説を書きまくった(例外としては「寓話」などがあるけど)。その作者が、わりとやさしい手法で、少年が熊狩りに参加した経験を書いたのがこの「熊」。
 「響きと怒り」とかを読んで、よく分からなかったらこれを読めばいい。構造的にも文体的にもそれほど難しくない。子供の頃へ回想する感情が、とりわけ最後のゴシック体部分で凝縮された。こういう風に、記憶を凝縮するのはよく映画とかで見られ、映像で想像するととても詩情にあふれた経験になる。
 思い出を描いた小説としては、中野重治の「梨の花」なんかも(古いけど)とても綺麗な小説だったと記憶している。
 訳者の加島さんはヘミングウェイがあまり好きでないようだが、ヘミングウェイとフォークナーはいろいろと対照的な作家なのである(ヘミングウェイはアメリカ以外を舞台にした作品の方が有名)。比べると面白い。
『大森林』 ★★★★☆
解説には書いていないが、1955年にランダムハウスから出版された『大森林』という、フォークナーのそれまでに書いた狩猟物語を集めた本の翻訳である。中でも、「熊」はフォークナーの最長の短編で、彼の傑作の一つに数えられている。ただし、この「熊」には実は二つのヴァ-ジョンがあって、ここに収められているのは短い方のヴァ-ジョンである。長い方のは『行け、モーゼ』に入っていて、本当に「熊」の複雑さを理解するには、こちらを読まなければならない。

原書と対照してみると、翻訳はかなり自由に訳されていて、訳文は読みやすくはあるが、翻訳ミスも散見される。訳者は他に『八月の光』なども訳している。

狩する話 ★★★★☆
フォ-クナ-の長編はややこしくて分からん、という人には、この短編集を読むことをお勧めする。特に「熊狩り」は語りの妙が十分に発揮されていて楽しめる。
作家というもんはいろんなもんをかくもんです。「響きと怒り」だけでフォークナーを判断してはいけないでしょう。