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田園交響楽 (新潮文庫)

価格: ¥340
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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裏表紙にネタばれが書いてあるので、初読の際は読み飛ばすこと。 ★★★★☆
盲目で言葉もろくに話せぬ孤児の少女を、
家族持ちの牧師が自宅へ連れ帰る、というところから話が始まる。

牧師は少女を教育することに喜びを覚え、絆を深めてゆくものの、
少女が視力を回復する可能性が生じるにおんで、或る不安を抱くようになる。そして……。

短い物語だが、良作だと思う。
「盲が盲を導いたらどうなるか?」という主題とは別に、恋愛小説の風情も醸し出されている。
牧師の心境も少女の可愛らしさも、かなり親しみ易い。そして牧師の奥さんには同情せざるを得ない。

私は、少女の、
「あなたが授けてくださる幸福は、何から何まであたしの無知の上に築かれているような気がしますの」
という言葉が心に残った。
もうちょっとじっくり描写して欲しい部分もあるが ★★★★★
やや足早に話が展開していった感はあるが、それはこの話の本質には何ら問題なかった。愛とは何か?ジッドの作品を読むと考えさせられてしまう。相手を思いやることが愛なのか、傲慢と愛の境目が難しくなってくる。愛に種類はあるのか。今作品を読んでそれを考えてしまった自分の愛には種類があるのだろうか。
人は誰に感情移入して読むかは分からない。しかし私はどうしようもなく牧師に親しみを持った。
見えるものと見えないもの ★★★★★
ある疑問が、私の中に、何度も巡る。
手術の成功により、盲目ではなくなったジェルトリュードが、投身したのは何故か?
物語を、表面的に読む限りでは、一定の結論が考えられるが、それでも、キリスト教精神に反する。

当初は美談の様に見えるが、実は悲壮だ。
そして、根本的な疑問を残して、物語が閉じられる。
その答えは、我々各人が、自分の心の中に、見つけるしかない。

当初、盲目のジェルトリュードには、何でも見えるのだと思った。
人の心や、風景さへも見えるのに、語り手である牧師には、それが見えないのかと思い、もどかしく感じた。
ところが、そうではなく、牧師は、すべてが見えていたにもかかわらず、自らの心に蓋をしてしまった。

比較的短い物語に、著者は特定のテーマを集中させている。
そのため、展開が急過ぎる様な印象も受けるが、むしろ、その方が、テーマが浮き彫りになる。

本作品は、人の心の内面の、さらに内ら側に迫る。
良かったです ★★★★☆
 ジッドの作品では『狭き門』を以前読みましたがこっちの方が気に入りました。『狭き門』は恋愛悲劇の様なイメージでしたが、こちらはもっと泥臭い。人間の本性に切り込んでいる所があります。「盲人が盲人を導くとどうなるか」というテーマで目の見えない少女を導く(と勘違いしている)牧師の言動を本人の手記という形で追っていくものです。最初は本当に善意に見える言動がだんだんとオーバーになってきて、手記の文句も自分を弁護するような記述が目立って来るのがなかなか真に迫ってきます。特に設定が牧師というだけあって、“神の御言葉”の間に自分の本心を押し隠そうとする人間の恣意的な一面が露骨になってくると流石にハラハラさせられました。人物設定等も非常に良く考えられており、物語としても十分に楽しめる内容です。ド頭から緊張感があります。
 ジッドの作品によく見られるキリスト教に関する記述が多いですが、物語のテーマ自体はつかむのはそれほど難しくないのでそれほど苦労せず読めると思います。短いですしね。けっこうおすすめです。
目を濁らす ★★★★☆
 この物語では盲目の少女ジェルトリュードを牧師の視点から純粋で美しいものとして描いています。そして開眼手術のあとに彼女はこの世の苦いもの、罪を知り、また自身の心のありようを知ったとされています。
 牧師もジェルトリュードもその息子ジャックも自身の中にある何かに心とらわれた盲人であり、導く以前に相手の手をとることもできていない。解説にある探求者として変化し続けるジッド像に合致する固執による悲劇をテーマとした小説かと思います。