海外で最も注目を集めている彼の著述分野も、このセクソロジー関係、とりわけ岩田準一との往復書簡に代表される「男色研究」なのです。当時まだまだ「性」に関しては後進国だった欧米諸国では「同性愛」の歴史的考究が極めて遅れていたため、彼の作品が今になって重視されているわけです。
ともあれ、文庫というコンパクトかつ廉価な簡易本で彼の名作が読めるとは実に「良い時代」になったものです。