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映画の真実―スクリーンは何を映してきたか (中公新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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映画とは何か?を考えさせられる本 ★★★★★
佐藤忠男さんの文章はとても読みやすく、わかりやすく、映画のことについて多くの知識がなかったとしても、その伝えたいことがわかるように書かれていて、素晴らしいと思いました。

この本では、映画というものが、どう「現実」を捉えてきたか、ということについて語られています。

戦争映画、恋愛映画、アジア映画、ドキュメンタリーなどを具体的に例に上げながら、
その映画がどういう歴史的背景で作られたか、
製作者がどういう想いでそれを作ったか、などが丁寧に書かれています。

国際的な商品である「映画」というものを通して、日本人が映画にどう関わってきたか、
日本映画は世界の中でどういう位置にいるのかということも、
考えさせられる本だと思いました。


映画で現実がわかるか ★★★★☆
映画で現実が分かるだろうか。佐藤忠男はこの問いに古今東西の映画を遡上に乗せながら、誠実に答えている。現実は分からない、としながらも佐藤の態度は次のように肯定的である。「映画というものは本来、現実と美化の間を、大きくあるいは微妙に揺れ動いてきたもので、その矛盾があるからこそ映画には精神的な生産性や発展があるのだ」

例えばこんな作品について語っている。神山征二郎「群上一揆」現実の百姓の姿をこれまでに無く忠実に描いている。そしてそのためか「七人の侍」のような民衆の支持を得られなかった。また、任侠映画は実は江戸時代百姓町人が持っていた自由と自治の名残なのだ、となかなか面白い考察。「無法松の一生」は古くからある伝統的な恋の物語なのだというのは誤解で、「シェーン」などに見られる西洋騎士道の貴婦人崇拝理念の移し替えなのである。日中双方が認めあう日中戦争の映画は今までほとんど無かったが、「チンパオ」(中田新一監督)でやっとつくられたその意義。ドキュメンタリーであるが、意図しない演技が感動的な「ファザーレス/父なき時代」。「群上一揆」と「チンパオ」は有名ではないが、私が最近の傑作だと思っていた作品なので取り上げられていて特に嬉しかった。

最近東西の戦争映画を立て続けに見た。「地獄の黙示緑完全版」「キプールの記憶」「カンダハール」「ブラックホーク・ダウン」現実と寓意の間を揺れ動いたり、ヘタウマの長廻しで現実的な戦争の姿を装おってみたり、ドラマとドキュメントのあいのこみたいな作品をつくってみたり、近視眼的な現実を延々と写すことで返って現実が分からなくなる作品だったり、戦争映画は優れて「現実と美化の間を揺れ動く」作品なのだと思い知った次第です。