哲学への入門書
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本書は、哲学書によくある難解な言葉の羅列ではなく、初心者にもわかりやすい文章でかかれている。
本書あとがきには、以下のような内容が書かれている。「本書でめざしたのは、アリストテレス哲学の解説ではなく、アリストテレスを通じての哲学入門、というか、...」・・・本書を読むとすぐわかるように、本書ではアリストテレスの哲学にプラトンの哲学が対比されて、あるいは関連づけて解説されている。これは、哲学入門としては当然のことかも知れない。なぜなら、プラトンとアリストテレスは古代ギリシアにおいて、哲学の根本を築いた二人の巨人だからである。アリストテレスとプラトンを学ぶことが、哲学の入門になるということだろう。
また、本書あとがきには、次のような内容も述べられている。「しかし、時代のへだたりが過去の遺物を意味するかのような扱いをギリシア哲学全体が受けて、実際の姿が十分認識されずにきたという面があるのは否定できない。アリストテレスも、一部の研究者の専門的な研究対象と見られて、一般の読者には敬遠されてきたというのが、日本での傾向であろう。そんな状況は現代日本人にとって損なことだと、かねがね思っていた...」・・・多くの人々は、アリストテレスやプラトンの哲学は過去の哲学であり、いまさら学ぶ必要はなく、近代・現代の哲学を学べば十分だという感覚なのだろう。しかしながら、古代ギリシャ哲学から学ぶことは多く、むしろ哲学に入門するには是非ともプラトンやアリストテレスの哲学を学ぶことが必要であると筆者は言っているように思われる。
レビュアーは、門外漢であり書評には確信がなく、誤りがあればご指摘お願いします。
哲学入門の参考図書として以下を挙げさせていただきます。
「哲学初歩」田中美知太郎著1950年初版、1977年改定初版、2007年文庫本版