せさせたまふ光源氏、ついに大貴族「六条の院」に!
★★★★★
第三巻は、光源氏の栄華に陰りが見え隠れする重要な一冊。度重なる玉鬘へのセクハラ行為が重なって、今や「チョイ悪」どころか「悪徳エロ親父」と成り果てた源氏。「玉鬘十帖」と称されるなかで、この玉鬘は髭黒大将に犯され、強引に結婚させられてしまう。ここらあたりから、源氏の運も尽き果てつつあるのか、嗚呼。
そんなこんなであるが、この第三巻はとても面白く、かつ、今後の展開もどうなることかと予想し辛い面もあり、とても興味深く読むことができる。
本書では、ついに初恋同士の雲居雁と源氏の息子・夕霧が結婚する。大塚センセによれば、一途に初恋の人を思って結婚するというのは「源氏物語」ではこの二人のケースだけらしい。センセじゃないけど、「よかったねえ、夕霧!」
「腹では罵り、顔では愛想よく」というパターンは「源氏物語」ではよく出てくるが、大塚センセはこれを元祖「京都人のイケズ」といっているが、なるほどそうかもしれない。
全六巻の第三巻目という頃になってくると、マスコミも余り取り上げず、読者も少しずつ減り始め、出版社としては不安になってくるころ。大塚センセもその辺のところはよくわかっているようで、「せめて<ひかりナビ>でも読んで!」と一生懸命さが伝わってくる。確かにこの第三巻は<ひかりナビ>がますます充実し、絶好調。また分量も増えているのだが、センセの熱心な翻訳を信頼している多くの読者は、早くも次の第四巻を心待ちにしているのである。
付録の「源氏の女性遍歴表」、コリャ面白い。また、件の女性陣の資産公開、これまた面白い。