究極の「ローマ人の物語」入門書!
★★★★★
本書は、「ローマ人の物語」の魅力を1冊のガイドブックに凝縮したものであり、各巻の概要、ランキング、ガイドブック、対談&インタビューの4つの要素で構成されている。いずれも章立てて完全に分かれているのではなく、うまく散りばめながら読者が飽きないように構成している。
まず、各巻の概要では1巻を8ページでまとめている。そして、引用を巧みに交えつつ、著者が各巻で何を言いたいか、並びにテーマとした時代に何が起こったかを紹介している。ちなみに、6ページは要約で、残りの2ページはコラムである。
次に、ランキングは編著者である企画部が選んだものであり、順位とその理由を2ページでまとめている。各巻の概要をチェックしながらランキングを読むことで、「ローマ人の物語」の魅力にハマることは必定である。
3つ目に、ガイドブックはカラー写真をふんだんに使用しつつ、ローマ帝国の遺跡、都市、美術館を紹介している。ここを読むことで、当時の面影を想像できるのと同時に、現地へ旅に出たくなる。
最後の対談&インタビューでは、次の2点を明らかにしている。まず、対談では著者がどのような目的で「ローマ人の物語」の執筆を開始し、完結するに至ったかに焦点を当てている。そして、インタビューではローマ人の魅力と執筆スタイルについて触れている。
なお、巻末には初級ラテン語講座がある。ここをパラパラと読むだけでも、ラテン語の位置付けや奥深さを知ることができるだろう。
正直言って、「ローマ人の物語」を全て購入&読破することは難しい。ただ、このガイドブックを所有or読むだけでも十分に価値はあると思う。そして、単語としてしか知らなかったローマの魅力をふんだんに紹介し、現代に欠けている要素でありローマ人の魅力である“共生(≒リキニウス法)”の素晴らしさを再認識させてくれるだろう。
余談が多すぎて・・・・
★★★☆☆
全15巻のダイジェスト版、といいたいところだが、肝心のダイジェスト部分は余りにも要約しすぎて、少々物足りない。15巻に登場する数多のローマ人の中で、美男子トップ10とか、美少女ナンバーワンとか、悪女は誰とか、誰と彼とがくっついて別れたとか、21世紀日本のゴシップ週間誌のような与太話にページを割きすぎている。以前出た「コンプリート・ガイドブック」のほうが、ページ数は少ないが、内容は充実していた。当たり前の話であるが、塩野女史ご自身も、もっと若かったし・・・・。全15巻を書き終えて、ローマ市内を散策する女史の写真が巻頭に載っているが、夢の印税暮らしを送っている中世ロココ風で、魔女みたいだ、というのはいい過ぎか?(欧米か!)
「貧乏くさくない」のが良いです。
★★★★★
「ローマ人の物語」は面白いんだろうが長すぎて・・・という方には良いのだろうな。
塩野氏の著作の数々や「ローマ人の物語」の素晴らしさについては、他のレビュアーの方々の間でも散々言い尽くされてきた感があるので、これ以上述べたいことはない。
ただ、私が塩野氏を好きな一番の理由は「貧乏くさくないから」である。
「『ローマ人の物語』の旅」の続編
★★★★☆
本書はローマ人の物語シリーズでいえば第7巻の後に出版された「『ローマ人の物語』の旅」の続編と言っていいだろう。カラー写真満載の史跡・美術館案内、名言録、初級ラテン語講座等は前書でも企画されていたものである。ただし、本書はシリーズ15巻全体を対象にしており、写真を交えた各巻の概要紹介(ローマ人の物語を尋ねる)、ローマ人名言録、主な登場人物の簡単な紹介(ローマ人劇場)は全巻から選ばれている。名言録や各巻の概要紹介はあの文章はどの巻のどの頁にあったかを探す手掛かりとなる。そういう意味で、本書はこれからシリーズを読破しようとする人よりも、読破し終えた人への贈り物のように思われる。美術館めぐりではカピトリーノ美術館に限ってではあるが、どの美術品がどの区画にあるかを示しており、ハドリアヌス防壁バスツァーの紹介とともに、欧州を旅行する時には参考にしたいと思う。本作は眺めて楽しいが、読み物としては粕谷一希氏との特別対談、それに編集部によるロング・インタビューがハイライトだろう。大長編を見事完結しての著者の心情に触れることができる。冒頭のシリーズ作者の散歩道、執筆部屋の紹介は興味深く、本書最後の本シリーズ最終巻最終頁の原稿の写真は作者・読者にとっての15年を振り返る縁となる。
最後に、私は「痛快! ローマ学」等で掲載されていたリーダーたちの通信簿の続きを期待しているのだが、本書にはそれがなかった。また、別の機会に、ということだろうか。
目新しさゼロ
★★☆☆☆
写真はふんだんに使ってあるものの、内容はもう何度も見たり聞いたりしたものばかり。
ローマ人の物語の作品中で、非常に盛り上がった文章もすべてみじん切りにされて
つまらなかった。
ガイドブックと名乗るのなら、もうちょっと別の視点でもできた気がするのですが…。