インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

荀子 上 (岩波文庫 青 208-1)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
岩波版だけでは不十分 ★★★★☆
現代語訳や訳注本が、各出版社から何種類か出ていますが、

『荀子』のテキストは異同も多く、解釈もまるで逆のものがあったり、

かなり揺れているようです。


この岩波文庫版は、そういう点についての解説が少なく、

金谷氏の訳が提示されているだけであり、どうしてそういう

意味になるのか、納得しながら読むのが困難です。


訳文としてはこなれていると思いますが、

やはり、明治書院「新釈漢文大系」所収の『荀子』ぐらいの

解説は必要だと思います。


岩波版だけでなく、他のバージョンも揃えて、

読み比べる必要があります。

かえって儒教の本流に思えてくる著書 ★★★★★
 朱子がくくった「四書」には含まれていない儒教の書ということだが、読み進めていくとこの「荀子」こそが「論語」の本流を継いでいるように思えてくる。

 全体は上下巻に分かれ、「はしがき」で訳注者が示しているように、上巻では個人の生き方についての説と、国家を営んでいく仕方についての説が説かれている。下巻は、巻十一第十六編から最終巻の巻二十第三十二編までと、上巻にも付されていた訳注・索引と、訳注者による解説を収録している。

 上巻全体で常に説かれていることは、人は生きていく際に規準を自らのうちに保って自分の考え方や振る舞いを統御していかなければ生きにくく、暮らしにくく、やがて危ういことになるということで、その規矩準縄となるものが仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌を内容とする徳であるということだ。もちろんこの考え方自体は儒教の核となる説そのものにしか過ぎないかもしれないが、この著書ではその説を規矩準縄としてあくまで具体的な事象について敷衍して述べているのが独特の説得力をもたらしている。一人の人間としての生き方と国家のあり方の説が無理なくつながっていくように話が進められていき、抽象的な論理展開に堕する部分が少ない。自然の理や人間交際の振る舞いと帰結、種々の労働のあり方や行政官のもろもろの使命、財政や外交や軍事、多くの分野で「孟子」の論述を上回っているように思えるし、「論語」が示した人間観や世界観がよく生かされているとも思う。

 論語と併せて読むと効果的だし、かえって「孟子」の独自性にも思いが及ぶ著書ではないか。
『論語』と並ぶ名著。 ★★★★★
私は、荀子に関しては、多少軽視していて、《要約版》で十分だと思っていました。ところが、何度も要約版を繰り返して読む内に、荀子の持つラディカルな《深さ》に気づき、今では、この《完全版》を愛読するようになりました。個人的には、あの『論語』と並ぶ名著だと思います。中国古典を学びたい人にとっては、避けて通れない重要な本だと思います。

(追記:荀子の説いた《性悪説》は、辛辣でありながらも、非常にポジティブな思想だと思います。《人間の本質は、悪である。だからこそ、全ての人は善人たるべく、努力しなければならない》という荀子の教えは、非常に、現実的かつ合理的です。私見を言えば、やはり《性悪説》の方が、より深い人間に対する《理解》なのだと思います。)
礼とは何かを中心に語る儒教の理解に重要な荀子の全訳 ★★★★★
荀子の書き下し文と、全訳、注、語句・人名索引と短い解説で構成される2巻本。金谷治の他の書と比べると漢文がない、解説が短いという点が残念ですが、おそらくこれは本自体が大著なため、全体の分量を少なくするための手段と思われます。他の出版社のものは抄訳がほとんどですので、希少な全訳本と言えます。性悪説などから異端とされることもある本書ですが、四書などと較べると思想の基本は同じで儒教の理解に役立ちます。特に礼義(社会規範)の概念と重要性が詳述されています。孟子などが聖人君子を念頭に置いた非常に高い理想のもとに書かれているのに対し、本書は、その理想は高いものの、庶民でもいかに儒教で高められていくことができるかが書かれています。“賎しい身分のものでも、学に通達すれば聖人になれる”といった文章があり、幅広い読者層に受け入れられる内容です。大著で内容が堅く多岐にわたりますので、通読には数ヶ月かかります。各章の間の相互のつながりはありませんし、関連する部分は注に書かれていますので、一部のみを読んだり、好きな部分から読んでも得られるものは大きいと思われます。金言が随所にみられ、”日々、道義にのっとった小事を積み重ねればどんな人間でも君子になれる”としますが、”栄達するか不遇に終わるかは時世にかかわる”と厳しい現実社会も見据え、“言として報われざることなく、徳として報われざることなし”といった将来の明るい希望が述べられます。最後に、憂いの絶えない現代人に救いの引用を以下に。
“君子は求めるものがまだ得られない時には自分で自分の意志を楽しみ、既にそれが得られたときにはまた万事がうまくゆくことを楽しみとする。だから一生楽しみが続いて一日でも憂えることがない。小人は求めることがまだ得られない時にはその得られないこと悲しみ、既にそれが得られた時にはまたそれを失うまいとして心配する。だから一生憂いごとが続いて楽しむことがない(子道篇29:8)。”


手頃ではあるが ★★★☆☆
高校で孟子と並んで必らず名前が出て来るのが荀子である。性善説、王道政治など、孟子が聞こえのよいことを言うのなら、荀子は性悪論、覇道政治など、あまり聞こえのよくないことを主張している。荀子の発言は辛辣で、弱者を温かくつつみこんでくれるものでは全くない。しかしその辛辣さは、あくまでも道徳を規準としており、その点に道徳の意味する厳しさや冷酷さを読み取ることは充分可能である。

それはともかく、孟子と並称される荀子である。中国古典を一通り読もうと思うなら、好むと好まざるとにかかわらず、一度は目を通しておかなければならない人物である。その意味で、岩波文庫に本書が取られているのは、頗る適切のはずである。

訳者の金谷治氏は、岩波文庫の『論語』や『韓非子』などでも知られており、翻訳もうまく、信頼できる学者である。しかるに本書に限っては、どうも時代の臭いが漂っている。妙に「階級」だのなんだのと、翻訳語として疑問符をつけたくなるようなものが多々存在する。文庫で手軽に読むことができる本だけに残念である。

どうしても『荀子』を読もうとするなら、かなり値は張るが、明治書院の『新釈漢文大系』所収の荀子が読みやすく信頼できる。