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無実はさいなむ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥945
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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ドラマとしては面白いが、ミステリーとしては? ★★★☆☆
養母アージル夫人を撲殺した罪で有罪のまま獄中で死んだジャッコが、実はアリバイがあり無実であった。その「朗報」により、では誰が真犯人なのかと、家族間で疑心暗鬼に陥る。その家族たちの心理ドラマとして見れば、本書はなかなかの傑作だと思う。

しかし、解説にも指摘のあるように、犯人探しに熱中していたフィリップが殺された際に十中八九の人に犯人が分かってしまうので、ミステリー作品としてはいただけない。では、その前の21章までに犯人を指摘できるかというと、それには手がかりが少なすぎる。

本書は昔読んだことがあるのだが、キャルガリ氏がジャッコの無実を家族に告げたところ以外は全然覚えていなかった。犯人を当てたことだけは記憶していたのに、途中、全然犯人の見当がつかず、おかしいなぁと思っていたが、前述のフィリップ殺しで犯人が分かり、あぁ、きっと昔読んだときも、ここで犯人が分かったんだなと思った。
我関せずが招いた悲劇 ★★★★☆
なんという事なかれ主義な家族なんでしょう。
そのうち3人は後半に考えの変化をみせますが
時は遅すぎました。

それに一人に関しては残念ながら
まだ自分の置かれた仕打ちを
人のせいにしたいようで。


上のとおりにこの作品には
終始陰鬱な雰囲気が漂います。
それは時折あるロマンスすらかき消してしまう強烈なもの。
間違えても雨の日、ブルーな日には読まないこと。

人間描写はよいのですが。
暗いので☆ひとつマイナス。
ある人物が、無罪であるということは、 ★★★★★
ある人物が、無罪であるということは、
別の人物が、有罪である可能性があるかもしれないということだ。

ある人物が、無罪であるということは、
よい知らせだと思い込んでいることがある。

利害関係者にとっては、利は害と背中合わせである。
利があるところには、かならず害もあるのだということが、本書から理解できた。

世の中は、うまくいかないものだ。

ps.
解説には、本書がある意味で失敗作だと書かれている。
小説としては、いろいろな複線が有効に働いているので、成功作だと思う。
推理小説の醍醐味 ★★★★☆
養子たちとその家族や取り巻きを中心に過去に遡って展開する「犯人探し」の典型的な作品。
最後の最後まで登場人物の誰でもが犯人になりそうで、ならなさそうで、読みながら推理して楽しむことが出来る醍醐味十分。
プロットがたくみなのか見事に誤った推理にはまってしまった。
読み返してみて、なるほどこのところはそういう意味だったのか、と純粋に推理小説として楽しめた。
一点だけ、唐突な印象をあたえる人物が登場し、やや興ざめした点があったが、まあ推理小説として仕方が無い。
よって星4つ。

クリスティの人間観察が光る〜「愛の力」の大きさ ★★★★☆
クリスティの自選ベスト10に入っている作品。ポアロもマープルも登場せず、代わりとなるべき一貫した探偵役も登場しないと言う不利な設定の中、水準以上のものが書けたという自負があるのであろう。

慈善家の老婦人を殺害した容疑で養子が逮捕され獄死する。その2年後、その事件が冤罪だと言って男が屋敷に乗り込んで来る。否応なしに2年前の事件が蒸し返されるのだが...。上述の通り一貫した探偵役もワトソン役も登場しないので、場面の記述も一貫していない怨みがある。また、犯人像が曖昧なのも気になる。狡知に長けた一面があるかと思えば、ヌケた部分もある。突如としてロマンスが発生するのは、まあクリスティらしい。こうした細かい欠点がありながら、全体を通して読むと楽しめるのは、やはりクリスティの人間観察が鋭いからであろう。舞台となる一家全員が疑心暗鬼に陥り、遺産相続問題を含む人間関係のドロドロした部分が浮き上がる様、殆ど全員が動機を持つ中、各々の焦りや心の中の弱い部分が巧みに表現されている。こうした基本的要素がしっかりしているからこそ、大トリックに頼らなくとも佳作を書き続けられたのだと思う。そして本作を読むと、様々な意味でクリスティが"愛の力"を信じていた事が良く分かる。

クリスティ得意の人間模様の機微の描写が楽しめる佳作。