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死が最後にやってくる (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥798
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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趣向は面白かった。 ★★★★☆
本書は紀元前2千年のエジプトを舞台にした異色作であるが、作者自身が「どこの場所でいつ起こったとしても構わない」と記しているとおり、事件に警察の介入がない点を除けば、設定を現代に置き換えてもそれほど違和感はない。

一家の絶対君主であるインホテプと、その息子(と妻)たちと娘を巡る愛憎劇から発展するミステリーとして、同じ中東もので『死との約束』を最初に連想したが、インホテプの若い愛妾ノフレトの登場で愛憎劇の中心が彼女に移る。そして当然のごとくノフレトが死に、さらにその後に続くいくつもの死。

古代エジプトを舞台とした趣向は面白かったが、ミステリー作品としては『死との約束』と同レベルぐらいかなというところ。
作者作品を読みなれた読者であれば、誰が犯人か、またどのような仕掛けがあったのかおおよそ見当がつき、大きな期待はしない方が無難。
アガサの異色作 ★★★★☆
アガサを、久しぶりに読んでみたくなり手に取った一冊。
紀元前2000年のエジプトが舞台という、数ある作品の中でも
異色の作品だというのに、何となく惹かれつつも
難しいかな…という疑念もあった。

しかし、読み始めるとそんな心配はどこかに。
紀元前の話と言えども、問題なく現代にも通じる人間関係。

家族間の愛憎劇を、旨くミステリーに仕込み、登場人物達が
次々に殺されて行く。

ポアロもミス・マープルも出ず、一体誰が謎を解くの?
という面白みもあった。

誰もが犯人でありえて、誰もが被害者になりうる。

さて、犯人は一体誰?

至極単純なことを、この愛憎劇が複雑に絡まって盲点となる。

読み終えて、思ったのは いつの時代にも
インホテブのようなワンマンな人
レニセンブのような、世間知らずの人
ヤーモスのような、一見優しくも 決断力の無い人
サティビィのような、口煩い ヒステリーの人
ソベクのように、豪快だけど単純な人
カイトのように従順だけど、自分の周りしか見えない人
イビイのように、自分を過大評価する 自惚れの強い人
ホリのように、思慮深き人
へネットのように、自己憐憫で他人の秘密をかぎまわる人
…等、色々な人がいる。果たして、自分はどの人に一番あてはまるのだろう?
などと考えながら読んでみると、又面白い。

アガサの異色作、是非 一読あれ。
メインはミステリーよりも愛憎劇・ロマンス ★★★★☆
歴史ミステリーですね。
エジプトを舞台にした
まるで読者がその時代にタイムスリップしたかのように
錯覚せせる素敵な作品です。

ただし、ミステリーに関しては
あまり重きは置いておらず
一族ならではの反目やいがみ合い
そして、跡継ぎ問題など
かなりリアルな描写で描いているので
そちらをメインに読んでいったほうが楽しめるかも…

もちろん最後はクリスティお決まりの
ロマンスあふれるハッピーエンドです。
エジプトは行ったことがなかったので ★★★★★
初めのうちは、どこの文化の話かよくわからなかった。
現代のイギリスの話でないことは分った。

昔の話なので、生活の実感がわかなかった。
家族の間の関係は、資産がある家だとこういうふうなんだろうなと想像はついた。

登場人物でアガサクリスティに近いのは、
インホテプの娘レニセンブと
インホテプの母エサかな思った。

「生きている妾と、死んだ妾では大違い」
といった、人生訓のような言葉があちこちに出てくる。

エジプト文化の人生訓なのか、
アガサクリスティの見聞きした人生訓なのははわかららなかった。

話の鈴としては、へネットという召使の位置付けがよくわからなかった。
殺人者の正体も以外だった。
へネットの位置付けと殺人者の正体の2点を除けば、とても奥深い物語だと感じました。
予想外の驚き! ★★★★★
最初はここまで素晴らしいと思わなかった。
次々死んでいく。
アガサの作品の中でも容疑者がここまで次々死んでいくのは「そして誰もいなくなった」以外ないのではないか?と思う程だ。
謎を解くキーワードを見つければ犯人を見つけることは可能かもしれない。
「早すぎるのもよくないが、遅すぎるのもよくない」という意味深長な趣旨の言葉が何を意味するのかが最後にわかった。
スリルの点では申し分ない。アガサ作品でも最高ランクだと思う。
古代エジプトでも現代でも人間というものは変わらないものだと思った。