惑わされちゃいけませんぜ。
★★★★☆
一見すると、怪しげな人物ばっかりなので、
その人が犯人のように思えてしまうことでしょう。
特にある人なんかはやっていることがやっていることなので
一番疑いたくなるはずです。
だけれども疑ってしまうと
最後の予想外の展開に
「あいや!」となりますのでご注意を。
しかしながらこの作品は
どこか神秘めいていますね。
「死の猟犬」を読んでいるような錯覚に
陥ります。
犯人は上のとおり、
予想外なはずです。
ふっと不意打ちをされたような感じになること
まちがいなしでしょう。
オリヴァ夫人 登場
★★★★★
オリヴァ夫人が登場しているので、ポアロはいつ登場するのかと待っていましたが、
最後まで登場しませんでした。
連続殺人事件を追う人が、警察医、学者、警部と、連携していく。
自分を標的にして操作をしようとする女性の危険な賭け。
最後のハピイエンドは、なんとなく途中から想像ができました。
主犯が誰かが、最大の山場のはずですが、
説明が少し物足りない気もしました。
ポアロとマープルを結ぶオカルト・ミステリー
★★★☆☆
本書は、殺された神父の靴の中から見つかったリスト9人のうち数人が最近死んでいるという事件を発端として、これらの死と関係があると見られる〈蒼ざめた馬〉に住む魔女と呼ばれる3人の女たち、降霊会、呪いによる殺人と、まるでディクスン・カーの作品を思わせるオカルト趣味に満ちた作品。
だが、読んでいる間はそれなりに面白かったが結末はというと、カーの大半の作品のように肩すかしものであるばかりでなく、主人公が真相に気づいたニューヨークで読んだ記事はそれまでどこにも出てこないため、読者が真相を推理するのは不可能。
なお、本書はレギュラー探偵の登場しないノン・シリーズだが、主人公の友人として推理作家のオリヴァ夫人がポアロものの「死者のあやまち」に次いで再登場している。(オリヴァ夫人は本書の後、ポアロものの「第三の女」に登場する)
また、デイン・キャルスロップ牧師夫妻もマープルものの「動く指」以来の再登場。(「動く指」では「キャルスロップ」ではなく「カルスロップ」と表記されている)
直接ではないが、こうしてポアロとマープルの世界が結びつくのは作者の遊び心によるものだろう。
結構怖い、クリスティの本。
★★★★☆
真相までぐいぐい引っ張ってくれます。しかし、謎が解き明かされると少々がっくりしました。
というのは、すっきりしない部分が結構あったからです。犯行手口とか犯人とか。
まあしかし、オカルトを取り入れた本格推理ものとしてまあまあの作品だと思います。
オカルトに彩られた物語を、鮮やかな手並みでミステリに仕上げてみせる技に、脱帽!
★★★★★
クリスティーといえば、緻密なトリックを駆使した本格派ミステリの代名詞のような人なのだが、そんなクリスティーが、その対極にあるようなオカルトを、結構、自らの作品にも取り入れていたという事実は、オカルトに対するクリスティーの意外な関心を示すものとして、なかなかに興味深い。
クリスティーは、「死の猟犬」に、オカルトを題材とした短編11作を掲載しており、「シタフォードの秘密」では、「交霊会」を事件の大きな鍵を担う設定とし、ついには、オカルトとミステリを見事に融合した長編として、この傑作「蒼ざめた馬」を書き上げるに至っているのだ。この後、「終りなき夜に生れつく」でも、不吉な予言をする不気味な占い師の老婆を重要な役割で登場させており、これらを見る限り、クリスティーのオカルトへの関心は、半端なものではなかったのではないだろうか。
さて、物語は、病で死に瀕した女に呼び出され、途方もない奇妙な話を告白された神父が、9人の名前を書いたメモ書きを残して撲殺されるところから始まる。学者マークは、そのうちの数人が病死していることを知るのだが、マークは、一方で、「誰かを消したければ「蒼ざめた馬」に行けばいい」という噂を耳にしており、そこに住む、3人の魔女に会うことになる。魔女から、超能力で潜在意識に働きかけて病気を誘発し、人を殺すことが可能だという話を聞かされたマークの心の中には、この二つを結びつける疑念が浮かび上がってくるのだった…。
徹底してオカルトに彩られた本書は、読み進めるほどに、「オカルトパワーによる殺人としか説明のしようのない病死事件を、どうやってミステリにまとめていくのだろうか」と心配になってくるのだが、最後には、見事に、本格派ミステリに仕上げてみせるクリスティーの技には、脱帽するしかない。クリスティーは、本当に凄い人だ。