長い...長くて退屈...
★★☆☆☆
いや、もう他に書きようがない。
作者が老骨に鞭打って、最長長編を書き上げたことには敬服するが、その内容たるや退屈をガマンしてまで読むほどの価値は認められない。
一応本格ものの態をなしてはいるが、そこで用いられているメイントリックも作者の有名作品の使い古しだし。
本書が執筆された当時は角川映画シリーズやTVの横溝正史シリーズのお陰で作者は人気絶頂、本書も映画化され金田一耕助最後の事件と喧伝され話題沸騰だったことから、本書はそれまでの作者の代表作と同等以上に売れに売れ、角川書店の宣伝勝ちだった訳だが、ブームの過ぎ去った今となっては一顧だに値しない作品。
本書を金田一耕助・最後の事件だからといって評を甘くするのは、レビューを参考にしてこれから読もうという人には大いに迷惑なことだし、それだけの理由で本書が評価されるなら、金田一耕助・最初の事件で第一回探偵作家クラブ賞受賞作の「本陣殺人事件」などは、もっと評価されるべきだろう。
金田一シリーズの最後の本
★★★★★
本屋にふと立ち寄ると、横溝正史の作品のカバーが新しくなって、あたかも横溝作品フェアーのようになっていた。非常に懐かしく、思わず手に取り数行読むと、同氏の作品を若かりしとき読んだ思い出が蘇ってきた。
小学生の頃などは同氏の作品はそのおどろおどろしいイメージより怪談お化けものかと思っていたものだった。高校生になり試しに一冊読み、あまりの面白さに著者の有名な作品を次から次へと読んだ記憶がある。
あのおどろおどろしさ、だが、金田一のさっぱりとした独特の雰囲気にほっとした気にさせられ、読み始めると最後まで止められないあたかも中毒のような、そんな本だった。
それから20数年。今回本屋で見ると、金田一耕助ファイルシリーズとしてちょうど20冊ある、そして、私がまだ読んでいない本がまだ何冊か残っていると知り嬉しくなり思わず手に取った本がこの本である。
やっぱりいい。久しぶりに徹夜した。一気読みという奴である。
20数年ぶりに読むと、若い当時では気付かなかった、愛憎、愛欲、浮気、妾等等が良く理解できるのである。これは読んだ作品ももう一度読んでも良いかなと。
当分読む本について迷わずに済みそうである。
ものの終わり
★★★★★
この本はオススメです!ただ、金田一の最後の事件だけあって背景が深いので、特に等々力警部の関わっている事件を2−3点読んで関係をつかんでから読んだ方が楽しめると思います。
この話は、一人の法眼弥生という女傑を中心に、金田一が彼女の一代人生の幕引き役を担った事件です。
上巻では、彼女の家の成り立ちとその延長線上に第1次事件が発生し、しかしその事件が表面上は未決として(金田一の中では一つの結論を得ますが・・・)法眼弥生の手によって打ち切られます。この時点では、金田一も彼女の手のひらの一つの駒に過ぎません。
そして上巻の事件から20年が経ち、その上巻の事件を種に下巻の第2次事件が花開き、今度は金田一がすべてを手のひらに載せ、その幕引きをするという展開になってます。
上巻は上巻で一つの事件を扱っていますが、下巻の事件との関係で明言を避けています。
ですので、読んでいてもどかしく、また金田一の行動に疑問を感じる場面もありますが、それは下巻で氷解していきます。
ちなみに私は、下巻を読んだ後に再び上巻に戻った口です。
事件そのものについては、ここでも横溝の世界は健在で、期待を裏切りません。
しかしその事件性以上に、ものの引き際というものを強く打ち出している物語だと思います。
法眼弥生の引き際。
等々力警部(第2の事件では引退していますが)の引き際。
そして、金田一(または横溝)の引き際。
物語の余韻が深く心に残る横溝晩年の名作だと私は思います。
名作にはほど遠い
★★☆☆☆
金田一耕助最後の事件だがだらだらと長いだけで傑作にはほど遠い。
クリスティーのポワロの最後の事件みたいに作者が若い頃に書いていれば……
もっと締まった作品になったかも。
感慨深い作品です
★★★★☆
この上下巻を読み終えたのは、通学途中の電車の中でした。
結構余韻に浸っていたのを思い出します。
金田一耕助(耕介ではありません。あまりにもこの間違いが多いので)最後の事件。(作品としては、後に悪霊島がありますが)
金田一探偵らしいラストです。
心して読んで下さい。そして余韻に浸って下さい。