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プラム・クリークの土手で―インガルス一家の物語〈3〉 (福音館文庫 物語)

価格: ¥788
カテゴリ: 文庫
ブランド: 福音館書店
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人との関わりの中で成長するローラ ★★★★★
 本作は何といってもイナゴと吹雪とネリー・オルソンですな。いなごの襲撃のシーンとその後の干ばつ、そして猛吹雪、自然の猛威の前では、人間なんて本当に無力なものなんだということを実感させてくれます。
 この後、「長い冬」でも猛吹雪の脅威は描かれるわけですが、ミネソタの吹雪の話の方はインパクトはありました。しかも、父さんは、猛吹雪で道に迷い行方不明になってしまうのです。後の「長い冬」では、今度はローラ自身が猛吹雪で迷子になりかけますが、作品を越えて、きちんと伏線がはられているのに感心しました。

 もっとも、作者は、本作を書いた時点で、そこまで計算していたかはわかりませんが・・・。

 あと、ネリー・オルソン。すごい嫌な女なんだけど、ネリーの意地悪ぶりに呆れ、メアリイは、
「私にはあんな意地悪絶対できないわ」
 とコメントします。しかし、それに対するローラの返事がとっても素敵。
「私はできる・・・。やろうと思えばもっとひどい意地悪ができるわ。もちろん、父さんと母さんが許してくれればの話だけど・・・」
 ボクもその通りだと思います。ローラはとても賢い女の子。本気になって意地悪したら、ネリーなんてすぐ泣かされてしまうことでしょうな(笑)。それを実行しない女の子に育てたのが、父さんと母さんの立派さですね。
なんでもないものでも、宝物のように見える魔法 ★★★★★
ありふれたものでも、ローラの筆にかかれば、素晴らしいものになります。
教会のクリスマス・ツリーを囲む時も、すごいプレゼントの数々のように
書かれていますが、よく考えるとみんな単なるお下がりです。
今でもヨーロッパでは、クリスマスに豊かな家の子供が
あまり豊かでない子供に何か送るという風習があるそうですが。

こうした描写を読むと、物を大切にしよう、感謝しようという気になります。

イナゴの大群のくだりは衝撃的でした。

シリーズ中、最も好きな一冊です。
子供時代の成長環境としては理想的かも ★★★★★
再び長旅の後、北中部のミネソタに戻ってきた。住んだところが、川の堤防に刳(く)られた穴のような家、これが面白い。土手に扉と窓が開いていたり、牛が天井を踏み抜いたり・・・。プラム川が、美しい流れを見せたり、時には暴れて危険な目に遭わせたり、ローラたちの生活に変化を与える。しかし、結局、父さんは地上に家を建て、開墾を進め牧畜や畑作を始める。

何よりの驚きは、バッタの大群の突然の襲来。また一斉に飛び立ってはいっても小麦は全滅。吹雪では、父さんが閉じこめられ何日も帰ってこない。これらのリアルな描写は経験者にしか書けない。

そうした日々を通じて、ローラは、自然の美しさ、奥の深さ、恐ろしさなどを知り、農業の姿をも知り、学校、パーティー、教会などで近所付合いも経験してゆく。子供時代の成長環境としては、ある意味、理想的といえそう。今の日本では、ほとんど望むべくもない、アメリカでも?とすれば、何とか、取り戻したいと思う。
地域コミュニティと共に・・・ ★★★★★
大きな森では親戚達と、大草原ではよき隣人と、よいおつきあいをしてきたインガルス一家ですが、この作品では本格的に地域コミュニティの仲間入りをしています。(といっても、一家は郊外に住み、あいかわらず、自然と共にある生活をしています)
ローラとメアリイはお弁当を持って学校へ行き、日曜日は家族揃って教会へ行き、多くの人と親しく付き合います。
教会で皆で祝うクリスマスは本等に楽しそうです。
新しい生活―ローラの3番目のお話 ★★★★★
 政府の政策により、インディアン居留地を追放されたインガルス一家はミネソタのプラム川の辺で新しい生活を始めることになりました。この場所は、今までローラが暮らした土地と違い、なかなか都会的です。街はローラが歩いていける距離にあるし、教会もあります。なので、ローラとメアリーは初めて学校に通うようになります。TVシリーズの名脇役「意地悪ネリー」は、この巻で初登場です。
 雑貨屋のお金持ちの娘で、きれいなドレスを着て、夏なのにブーツを履いてるネリー。かたやローラたちは、小さくなって短くなったスカートの裾から、裸足の足をひょろりと出して、学校で使う石版と石筆を買うお金を父さんに貰うことさえためらう暮らしです。でも、ローラは父さんや母さんに不満があるわけじゃないです。「羽生の宿も我が宿、玉の装い羨まじ」、父さんが唄う歌です。それに、今年の小麦はすくすくと育っていて、刈り取りまで僅かです。素晴らしい出来栄えで、この小麦さえ刈り取れば、借金も払い終え、貯金も出来るし、キャンディーだって服だって何でも好きなものが買えるのです。
 というときに、いきなり襲い掛かってきたイナゴの大群。インガルス一家の落胆はどれほど大きかったか想像がつくと思います。小麦の収穫もない、野菜の収穫もない、お金もない、そんな状況の中でも「大丈夫ですよ、今までやってこれたんだもの、今度もきっとやっていけるわ」と静かに言える母さんの強さ、そして道を切り開いていく父さんの逞しさ。フロンティア精神が今でも讃えられるのも頷けます。大変な時期の話なのに、この話は明日への希望に溢れてます。