全十二巻堂々の復刊 その五
★★★★★
相変わらず読みづらい本ですが、いよいよ幕末史らしく、話が盛り上げってきます。
八・一八の政変により、京都での基盤を失った長州藩や尊攘派ですが、その熱い期待は変わることなく、大和での天誅組、但馬での平野国臣の挙兵へとつながるも、挙兵は失敗。水戸でも藩内抗争から天狗党が挙兵するも、こちらも失敗。それぞれに大義を掲げてはいるものの、結局は庶民が大迷惑しただけに終ってしまいます。水戸では支藩の藩主にまで類が及んでしまいます。幕府だけでなく、武士と言う階層自体が揺らいできているのです。
京都では、参与会議という政治ゲームの裏で、孝明天皇の信頼厚い松平容保の会津藩と新撰組が活躍。一方、長州藩は巻き返しを図るべく、一軍を率いて上洛。京都を戦火に巻き込み、多大な犠牲を払いながらも敗走し、おまけに外国艦隊の来襲という事態を招いてしまいます。